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【神奈川県】不登校からの高校受験|長期欠席の申請と進学先の選択肢

神奈川県の不登校からの高校受験。親子が相談員と話すやさしい手描きのアイキャッチ。

中学校を欠席しがちでも、神奈川県の公立高校は受験できます。欠席日数による出願の制限はありません。

そのうえで神奈川県には、欠席が一定の日数を超えた場合に、調査書の学習の記録を選考の資料から外して選考してもらう申請が用意されています。この制度を知らないまま出願の時期を迎える家庭は少なくありません。

この記事では、神奈川県教育委員会が公開している実施要領と様式をもとに、調査書に何が書かれるのか、欠席が多い場合にどんな申請ができるのか、そして全日制以外も含めた進学先の選択肢を整理しました。

欠席が多くても高校は受験できます

欠席が多い場合に、志願資格、長期欠席の申請、志願先の選考方法を中学校と確認する3段階。

神奈川県公立高校入試の志願資格に、出席日数の条件はありません。中学校を卒業する見込みがあれば、欠席の多少にかかわらず出願できます。

神奈川県教育委員会の調査によると、令和6年度に県内の公立中学校で不登校とされた生徒は14,058人でした。前年度の14,039人からほぼ横ばいです。学校に通えない時期があること自体は、県内で珍しい状況ではありません。

【参考:https://www.pref.kanagawa.jp/documents/12550/r6shiryou1.pdf /うち小・中学校不登校児童・生】

制度の側も、この状況を前提とした仕組みを用意しています。以下、順に見ていきます。

神奈川県の調査書に「出欠の記録」欄はありません

まず、調査書に何が書かれるのかを確認します。神奈川県の調査書(第11号様式)には、次の6つの欄があります。

欄内容
学籍の記録氏名、生年月日、現住所、中学校名、入学・卒業年月、受検番号など
各教科の学習の記録9教科について、第2学年・第3学年ごとの観点別の評価(A・B・C)と5段階の評定
総合的な学習の時間の記録学習活動の内容、身に付けた資質・能力の特徴と所見
特別活動等の記録3年間の学級活動・生徒会活動・学校行事・部活動の所属と活動学年
行動の記録及び所見3年間の学校生活全般における具体的事実にもとづく所見
総合所見及び諸活動の記録上記を総合した記録

この中に「出欠の記録」を書く欄はありません。 欠席日数や出席日数を記入する欄が、様式そのものに用意されていないためです。

文部科学省が定める指導要録には出欠の記録欄があり、そこから「調査書にも欠席日数が書かれる」と説明されることがありますが、指導要録と調査書は別の書類です。

【参考:https://www.pref.kanagawa.jp/documents/63604/13_youshiki5-11_1.pdf /各教科の学習の記録 総合的な】

欠席は別の書類で扱われます

とはいえ、欠席がまったく扱われないわけではありません。神奈川県では、欠席について第8号様式「欠席状況証明書」という別の書類が用意されています。

これは次章で説明する申請とセットで使うもので、申請をしない場合には提出しません。

調査書の評定そのものの計算方法については神奈川県の内申点の計算方法で解説しています。

長期の欠席を理由とする選抜方法の申請

神奈川県公立高校入試には、長期に欠席した志願者のための申請があります。

申請できる条件

中学2年または中学3年の12月までに、出席すべき日数の3分の1以上を欠席した場合は長期欠席の申請対象となる。

神奈川県教育委員会は、対象を次のように示しています。

中学校の2年または3年(12月まで)で、出席すべき日数の1/3以上の欠席をした人

第2学年、第3学年のどちらか一方でも該当すれば申請できます。第3学年については12月までの日数で判断します。

【参考:https://www.pref.kanagawa.jp/documents/119668/choukikesseki.pdf /中学校の2年または3年(12月ま】

申請するとどうなるか

申請が認められた場合は希望する学年の学習の記録を選考資料にしない扱いとなり、参考にできる資料で選考する。加点や特別枠、合格保証ではない。

申請した学年の、調査書における学習の記録は、資料とせずに選考します。

つまり、申請した学年の評定は選考の計算から外れます。学校に通えていない期間の評定がそのまま不利に働くことを避けるための仕組みです。

実施要領では、この申請をして志願先の高校長が長期欠席者であると認めた場合、その志願者は「資料の整わない者」として取り扱われると定められています。資料の整わない者については、「参考にできる資料を活用して適正に選考する」とされています。

手続きの流れ

長期欠席の申請は中学校に相談し、志願者と保護者が第7号・第9号様式、中学校が第8号様式を用意して、中学校を通じて志願先へ提出する。

3つの様式を、志願先の高等学校長に提出します。

  1. 第7号様式「長期の欠席を理由とする選抜方法申請書」……志願者が作成
  2. 第9号様式「長期の欠席を理由とする選抜方法の取扱い申請書」……志願者が作成
  3. 第8号様式「欠席状況証明書」……中学校長が作成し、職印の押印を受ける

第8号様式には、出席しなければならない日数と欠席日数を記入します。様式には「第3学年の欠席の状況については、12月末までの日数を記入すること」という注記があります。

中学校長の作成が必要な書類が含まれるため、手続きは中学校を通じて進めることになります。出願の直前に慌てないよう、該当しそうな場合は早めに担任に相談しておくと安心です。

優遇措置ではありません

この申請について、県は同じ資料で次のようにも明記しています。

選考の際の加点資料ではありません。選抜の特別枠を設けるものではありません

点数が上乗せされたり、専用の募集枠が用意されたりするわけではありません。評定という資料が揃わないことによる不利を避けるための仕組みであって、有利になるための制度ではない、ということです。

制度の性格を正確に理解しておくと、申請するかどうかの判断もしやすくなります。

相模向陽館高校では申請が不要です

この申請の対象から、県立相模向陽館高等学校は除かれています。実施要領にも「(県立相模向陽館高等学校を除く。)」と明記されており、県の案内にも「相模向陽館高校では申請する必要はありません」と書かれています。

同校は後述するフロンティアスクールで、選考の仕組み自体が評定を前提にしていないためです。

学力検査を行わない県立高校があります

神奈川県には、学力検査を実施しない県立高校があります。

クリエイティブスクール(5校)

学校学科
県立釜利谷高校全日制普通科
県立横須賀南高校全日制普通科
県立小田原北高校全日制普通科
県立大和東高校全日制普通科
県立青葉総合高校全日制総合学科

この5校では学力検査を行わず、特色検査(面接)を共通の検査として実施します。選考は、実施したすべての検査と、調査書の観点別学習状況を資料として総合的に行われます。5段階の評定ではなく、観点別のA・B・Cを使う点が他の高校と大きく違います。

県はクリエイティブスクールを次のように説明しています。

一人ひとりが持っている力を必ずしも十分に発揮できなかった生徒に対して、これまで以上に学習意欲を高める取組みを行う学校

県が作成した学校紹介資料には、より具体的な記載もあります。

「クリエイティブスクール」とは、中学校までに持てる力を十分に発揮しきれなかったけれど、「やりなおしたい」「学びなおしたい」という意欲のある生徒を応援する学校です。

同資料によると、通常1学級40人のところを30人以下の少人数で編成し、数学・英語はさらに半分に分けて授業を行うとされています。

【参考:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/tokushoku/hsw/keyword.html /一人ひとりが持っている力を必ず】

フロンティアスクール(2校)

県立横浜明朋高校と県立相模向陽館高校は、フロンティアスクール(多部制定時制)に位置づけられています。

午前部と午後部に分かれ、1日約4時間(半日単位)の授業を受けて、ゆっくりじっくり学ぶ昼間定時制の学校

どちらも定時制普通科の単位制で、選考は調査書の観点別学習状況を資料として総合的に行われます。

インクルーシブ教育実践推進校特別募集は別の制度です

進路を調べていると「インクルーシブ教育実践推進校特別募集」という制度名を目にすることがあります。これは知的障がいのある生徒を対象とした特別募集で、不登校を対象とした募集ではありません。

学力検査を実施せず面接で選考する点がクリエイティブスクールと似ているため混同されやすいのですが、対象がまったく異なります。志望校を検討する際は、それぞれの募集の対象を確認してください。

進学先の選択肢

全日制、定時制、通信制の学び方の比較。時間帯や学習の進め方を知り、検査内容と支援体制は学校ごとに確認する。

公立高校の課程には、全日制のほかに定時制と通信制があります。学ぶ時間帯も選考の方法も違います。

課程学ぶ時間選考の主な資料募集の枠
全日制平日の昼間調査書・学力検査(+特色検査)定員の100%を共通選抜
フロンティアスクール(昼間定時制)午前部・午後部(1日約4時間)調査書の観点別学習状況ほか—
定時制(夜間)午後5時30分ごろ〜午後9時ごろ・4時限調査書・学力検査(原則3教科)定員の80%を共通選抜/20%を定通分割選抜
通信制レポート・スクーリング・試験調査書と作文定員の80%を共通選抜/20%を定通分割選抜

通信制の選考は調査書と作文です

公立の通信制では学力検査を行わず、作文を実施します。選考は調査書と作文の結果を資料として総合的に行われ、高校が必要に応じて特色検査を実施した場合はその結果も資料になります。

県立の通信制は、県立横浜修悠館高校と、通信制課程を併設する県立厚木清南高校です。

通信制の学び方は、レポート(添削指導)、スクーリング(面接指導)、試験の3つが柱になります。毎日決まった時間に通う形ではないため、体調や生活のリズムに合わせて進められる点が全日制との違いです。

共通選抜で決まらなかった場合

共通選抜で進学先が決まらなかった場合にも、その後の募集があります。

  • 二次募集……全日制および夜間以外の定時制で欠員が出た場合、共通選抜の終了後に必要に応じて実施されます
  • 定通分割選抜……夜間の定時制・通信制で、3月に実施されます。定員の20%が対象で、共通選抜で募集人員に満たなかった学校はその分が加わります

令和9年度の定通分割選抜は、募集が2027年3月4日・5日、学力検査等が3月15日、合格発表が3月19日という日程です。

過去の二次募集の動きについては神奈川県公立高校の二次募集についてまとめた記事もあわせてご覧ください。

学習の遅れと相談先

中学校への相談で、申請の対象と書類、志願先の検査と選考資料、受検時の配慮、入学後の学習と相談の支援を確認するチェックリスト。

まず中学校に相談する

長期の欠席を理由とする申請には、中学校長が作成する書類(第8号様式)が必要です。受検時の配慮の申請も中学校を通じて行います。どちらも家庭だけで完結しないため、担任への相談が出発点になります。

県も「中学校における学習活動での配慮が基本となりますので、中学校の先生とよく相談してください」としています。

受検時の配慮も申請できます

障害等のある受検者に対しては、次のような配慮が用意されています。

  • 学力検査問題用紙等の拡大
  • 検査時間の延長
  • 別室受検
  • 座席の配慮

実際に行う配慮の内容は、受検者の状況に応じて個別に対応するとされています。こちらも中学校を通じて事前に申請します。

【参考:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/nyusen/nyusen/hairyo.html /中学校における学習活動での配慮】

学習の遅れをどう埋めるか

学校に行けていない期間の学習をどう扱うかは、本人の状態によって適した方法が変わります。中学校の個別の指導、市町村が設置する教育支援センター(適応指導教室)、家庭学習用の教材、塾や家庭教師など、選べるものは一つではありません。塾によっては個別の学習相談を受け付けており、臨海セミナーのように県内の教室を一覧から探せるところもあります。

どれを選ぶにしても、まず確認したいのは志望校の候補と、その高校が何を資料に選考するかです。学力検査を行わない高校を選ぶのか、学力検査で得点する前提で準備するのかで、必要な準備がまったく変わってきます。

よくある質問

不登校でも高校は受験できますか?

できます。神奈川県公立高校入試の志願資格に、出席日数の条件はありません。中学校を卒業する見込みがあれば出願できます。

不登校は高校受験に影響しますか?

神奈川県の調査書には出欠の記録を書く欄がないため、欠席日数そのものが選考の資料になることはありません。影響が出るとすれば、学校に通えなかった期間の評定がつきにくいという形です。これに対しては、長期の欠席を理由とする選抜方法の申請が用意されており、申請した学年の学習の記録を選考の資料から外して選考されます。

神奈川県の調査書に欠席日数は書かれますか?

調査書(第11号様式)に出欠の記録を書く欄はありません。欠席については、長期の欠席を理由とする申請をする場合に限り、第8号様式「欠席状況証明書」という別の書類で扱われます。

長期の欠席を理由とする申請は、誰がどこに出すのですか?

第7号様式と第9号様式は志願者が作成し、第8号様式「欠席状況証明書」は中学校長が作成して職印を押します。この3点を志願先の高等学校長に提出します。中学校長の作成が必要なため、手続きは中学校を通じて進めます。

欠席が多いと内申点はつかないのですか?

評定がつくかどうかは中学校の判断によります。評定が揃わない場合、長期の欠席を理由とする申請をすることで「資料の整わない者」として取り扱われ、参考にできる資料を活用して選考されます。この申請は加点でも特別枠でもなく、資料が揃わないことによる不利を避けるための仕組みです。

学力検査を受けずに入れる公立高校はありますか?

クリエイティブスクール5校(釜利谷・横須賀南普通科・小田原北普通科・大和東・青葉総合)は学力検査を行わず、特色検査(面接)を共通の検査として実施します。公立の通信制も学力検査ではなく作文を実施します。

まとめ

神奈川県公立高校入試に、欠席日数による出願の制限はありません。調査書にも出欠の記録欄はなく、欠席日数そのものが選考の資料になることはありません。

欠席が出席すべき日数の1/3以上になった学年がある場合は、長期の欠席を理由とする選抜方法の申請によって、その学年の学習の記録を選考の資料から外してもらえます。中学校長が作成する書類が必要なので、該当しそうな場合は早めに担任に相談してください。

進学先も全日制だけではありません。学力検査を行わないクリエイティブスクール、昼間定時制のフロンティアスクール、夜間定時制、作文で選考する通信制と、選考の資料も学び方も異なる選択肢があります。

参考にした資料(すべて2026年9月27日閲覧)

  • 神奈川県教育委員会「令和9年度 神奈川県公立高等学校入学者募集及び選抜実施要領」 https://www.pref.kanagawa.jp/documents/63604/00_r9jisshiyouryou.pdf
  • 神奈川県教育委員会「令和9年度 第5号様式〜第11号様式」 https://www.pref.kanagawa.jp/documents/63604/13_youshiki5-11_1.pdf
  • 神奈川県教育委員会「令和9年度 調査書作成上の注意」 https://www.pref.kanagawa.jp/documents/63604/14_chuui1.pdf
  • 神奈川県教育委員会「入学者選抜における選考及び長期の欠席を理由とする選考方法の取扱い申請について」 https://www.pref.kanagawa.jp/documents/119668/choukikesseki.pdf
  • 神奈川県教育委員会「特別な事情のある人への配慮について」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/nyusen/nyusen/hairyo.html
  • 神奈川県教育委員会「公立高校入学者選抜制度の概要」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/nyusen/nyusen/nyusenseidogaiyou.html
  • 神奈川県教育委員会「新しい学びのかたちから高校をさがす」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/tokushoku/hsw/keyword.html
  • 神奈川県教育委員会「定時制の県立高校」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/tokushoku/hsw/teiji.html
  • 神奈川県教育委員会「公立高校の定時制・通信制に進学を希望するみなさんへ」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/nyusen/nyusen/teitsuupanhu.html
  • 神奈川県教育委員会「令和9年度 実施要領 インクルーシブ教育実践推進校特別募集」 https://www.pref.kanagawa.jp/documents/63604/08_6_inkuru_1.pdf
  • 神奈川県教育委員会「神奈川県児童・生徒の問題行動・不登校等調査の結果について」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/v3p/ijime-bouryoku/kanamonkou.html
  • 神奈川県教育委員会「令和9年度神奈川県公立高等学校の入学者の募集及び選抜の主な日程等について」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/nyusen/nyusen/r9/r9nyusen-nittei.html
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この記事を書いた人

ハマジュク編集部は、塾講師や家庭教師として県内のトップ校に進学させる実績や、偏差値を30以上上げて志望校へ合格させた経験を持つメンバーで構成されております。全国トップ20(県内トップ3)の学校に進学した人や、中学受験を経験した人も在籍。受験や講師としての経験も踏まえて、横浜エリアを中心に高校受験に役立つ情報を発信しています。
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