【神奈川県立元石川高等学校の受験情報完全ガイド】偏差値・進学実績・入試・過去問・評判から受験対策まで解説!

はじめに
神奈川県立元石川高等学校(以下、元石川高校)は、横浜市青葉区にある全日制普通科の共学校です。入試難易度を示す偏差値は概ね55前後で、県内では中堅上位クラスに位置します。特色ある教育プログラムと高い進学実績で知られ、受験生や保護者から注目を集める高校です。本記事では元石川高校の基本情報から入試対策まで、徹底解説します。
出典:偏差値と内申合格のめやす 神奈川県公立高校入試(市進 高校受験情報ナビ)
神奈川県立元石川高等学校ってどんな学校? 概要まとめ
基本情報
元石川高校は横浜市青葉区元石川町に所在し、1984年(昭和59年)に開校しました。全日制の普通科を設置する共学校で、生徒数は約1,060名(男子約470名・女子約590名)です。1クラス40名編成で、現在9学級程度が設置されています。男女比はおおむね4:5で、普通科として文系・理系問わず幅広い進学に対応したカリキュラムが組まれています。
出典:学校概要・教育課程(神奈川県立元石川高等学校)
校風・特色
元石川高校の校風は、生徒の主体性や創造性を尊重する自主・自立型です。県立では珍しい学校設定科目「アントレプレナーシップ(起業家精神)」講座を開講しており、課題解決型学習を通じて生徒のリーダーシップや協働力を育成しています。また、ノーチャイム制や上履きを使用しない一足制を採用し、生徒の自主性を促す取り組みを行っています。具体例として、新制服のデザイン決定には生徒主体の委員会が関わり、この活動は新聞にも「生徒がプロデュース、元石川高校に新しい制服」として取り上げられました。これらの特色ある取り組みにより、生徒が積極的に学校生活に参加できる校風が築かれています。
出典:学校説明会でのよくある質問とその答え(神奈川県立元石川高等学校)
部活動
部活動は運動系・文化系合わせて20以上と盛んで、文武両道の校風を支えています。運動部では陸上競技、バレーボール、バスケットボール、ソフトテニス、サッカー、野球などが活動しており、文化部も美術、吹奏楽、茶道、自然科学、軽音楽、書道など多彩なジャンルがそろっています。生徒はいずれかの部に高い加入率で所属し、県大会出場などの実績をもつ部もあります。活発な部活動を通じて仲間との協調性やリーダーシップを養い、充実した高校生活を送っています。
出典:部活動(神奈川県立元石川高等学校)
制服
制服は2017年度にリニューアルされ、伝統と新しさを兼ね備えたデザインです。生徒と専門業者による制服検討委員会が主体となり、生地には青を基調に10種類のグレーを織り込んだオリジナル生地を採用、校章カラーのピーコックグリーンのラインがアクセントとして隠されています。この新制服制作は生徒の主体的な活動として行われ、神奈川新聞にも紹介されました。冬服・夏服ともブレザーを基調としたスタイリッシュな制服で、生徒や保護者から好評を得ています。制服を通じて学校への愛着や誇りを育みつつ、機能性とデザイン性を両立させています。
出典:制服(神奈川県立元石川高等学校)
教育目標・校訓
元石川高校の教育目標は「現在に生きる知恵と未来を拓く知恵を琢(みが)く」ことです。この理念には、現代社会を生き抜く力と未来を切り拓く力の双方を磨くという意味が込められています。また、校訓(教育目標達成スローガン)として「自立・協働・創発」の3つのキーワードが掲げられており、生徒一人ひとりの自主的な行動力(自立)、仲間と協力する力(協働)、そして新たな価値を創り出す力(創発)を育成することを目指しています。これらの目標のもと、日々の教育活動が展開され、生徒の人間的な成長を後押ししています。
出典:スクール・ミッション 教育目標 校訓(神奈川県立元石川高等学校)
略称
神奈川県立元石川高等学校の略称は、一般に「元高」(もとこう)または「元石」(もといし)と呼ばれています。生徒や卒業生の間でも親しまれている愛称で、日常的にこの略称が使われています。なお、「元石川」(もといしかわ)と学校名全体で呼ばれることもありますが、会話の中では「元高」のほうがコンパクトで呼びやすいため広く定着しています。いずれも学校への愛着を込めて用いられる呼称です。
アクセス
最寄り駅から少し距離がありますが、東急田園都市線たまプラーザ駅やあざみ野駅からバスで便利にアクセスできます。たまプラーザ駅からは徒歩約20分ですが、駅前5番乗り場から「元石川高校経由 あざみ野ガーデンズ循環」バスに乗車し約10分、「元石川高校」停留所で下車すると校門まですぐです。あざみ野駅からは徒歩約25分で、同駅5番乗り場のバス「たまプラーザ駅行き(元石川高校経由)」に乗れば約15分で「元石川高校」停留所に到着します。いずれも「元石川高校」というバス停が校舎近くにあるためアクセスは良好で、通学にはバス利用が一般的です。
出典:元石川高校へのアクセス(神奈川県立元石川高等学校)
神奈川県立元石川高等学校の入試情報(2025年度版)
最新の偏差値
元石川高校の最新の偏差値はおおむね55前後とされています。この数値は県内の公立高校の中で中堅上位に相当し、上位38%程度の学力層に位置します。偏差値は年度や模試の種類によって若干変動するものの、概ね偏差値50台半ばを推移しています。難易度としては、神奈川県内の公立高校の平均よりやや高めで、しっかりと受験対策を行えば合格を十分狙えるレベルと言えるでしょう。
出典:偏差値と内申合格のめやす 神奈川県公立高校入試(市進 高校受験情報ナビ)
合格に必要な内申点の目安
元石川高校に合格するためには、中学での内申点(調査書点)も重要です。目安としては、9教科合計で約100ポイント前後(135点満点中)を確保できると合格可能性が高まるとされています。この「内申100」は、仮に9教科すべてを5段階評価で平均「4」以上取っている状態に相当します。内申が多少不足する場合は当日の学力検査でカバーする必要がありますが、逆に内申が充実していれば合格へ有利に働きます。したがって、日頃から定期テストや提出物で高評価を取り、中学3年生2学期までに内申点をできるだけ確保しておくことが望ましいでしょう。
出典:偏差値と内申合格のめやす 神奈川県公立高校入試(市進 高校受験情報ナビ)
近隣/同レベルの高校との比較
元石川高校と地理的に近い高校や学力レベルが近い高校として、いくつかの学校が挙げられます。例えば横浜市青葉区内では、同じく青葉区に所在する県立荏田高校が近隣校ですが、偏差値では元石川高校よりやや低めです。一方、学力レベルが同程度の学校としては、偏差値が同じくらいの県立横浜栄高校などが挙げられます。横浜栄高校は所在地こそ異なりますが、元石川高校とほぼ同等の難易度であり、併せて比較検討されることが多いようです。同じ横浜北部エリアでは、元石川高校に対し、市ヶ尾高校や川和高校など更に上位校も存在しますが、これらは難易度が大きく異なります。受験校選定の際は、近隣でかつ自分の学力水準に合った高校を複数見比べて検討すると良いでしょう。
募集定員・入試日程
募集定員は例年約360名(9クラス相当)です。直近では2024年度入試で定員359名に対し志願者481名、最終的な受検者470名に対し合格者359名となっており、1.3倍程度の競争率でした。これに大きな増減はなく、毎年ほぼ同規模の募集が行われています。入試日程は神奈川県全県共通で行われ、例年1月下旬に出願受付、2月中旬に学力検査(筆記試験)、2月下旬に合格発表というスケジュールです。なお、二次募集(追加募集)は基本的に実施されないため、一発勝負の一般入試で定員内に入る必要があります。公式の詳細日程は年度ごとに神奈川県教育委員会から発表されますので、受験年度の最新情報を必ず確認してください。
出典:令和7年度神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等の志願者数(志願変更締切時)について(神奈川県ホームページ)
選考基準
元石川高校の入学者選抜は、第一次選考と第二次選考に分かれ、それぞれ内申点(調査書点)と学力検査点の配点比率が定められています。第一次選考では、内申点と学力検査点を同じ比率(5:5)で評価し、各受験生の合計点で上位90%程度の合格者を決定します。この段階では元石川高校独自の重点化(特定科目の加点)や特色検査は一切行われません。残り約10%を判定する第二次選考では、学力検査点を重視した8:2の比率(学力検査:内申内の「主体的に学習に取り組む態度」の評価)で総合点が算出されます。このように、元石川高校では基本的に「学力検査」と「内申点」の両方をバランスよく評価する選考基準となっており、どちらか一方に偏りすぎない総合力が求められます。
出典:令和7年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査の概要(神奈川県ホームページ)
学力検査
学力検査(筆記試験)は国語・数学・英語・理科・社会の5教科で実施されます。それぞれの教科は100点満点で、5科合計500点満点の得点が各受験生に与えられます。試験問題は神奈川県共通の公立高校入試問題で、例年記述式とマーク式が組み合わさった形式です。難易度は中学校の学習内容を基礎としつつ、応用力や思考力を試す問題も含まれます。特に英語では長文読解やリスニング、数学では証明問題や応用問題など、高校での学習に繋がる力が問われます。なお、元石川高校では特定の科目を重視する重点化を行っていないため、5教科すべてをまんべんなく得点することが重要です。
出典:令和7年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査の概要(神奈川県ホームページ)
調査書(内申点)
調査書点(内申点)は、中学校での学習成績に基づき算出される選考資料です。神奈川県では中学2年生と3年生の通知表評価が対象となり、「2年生9教科の合計」+「3年生9教科の合計×2」という計算式で換算されます。この結果、満点は135点となり、元石川高校ではこれを500点満点中に換算して評価します。具体例として、9教科オール5(45点満点)・3年生も同様の場合、135点となり換算後は500点満点となります。実際の合格者の内申点平均は例年約103点(135点満点中)で、オール4相当に近い高めの成績を収めています。したがって、日頃の定期テストや提出物、授業態度などで高評価を得て内申点をしっかり確保しておくことが、合格に向けた大きな鍵となります。
出典:令和7年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査の概要(神奈川県ホームページ)
面接
一般入試では面接試験は課されません。2023年度以前は一部で面接点を加味する高校もありましたが、元石川高校では学校独自の面接や特色検査を実施していないため、通常の学力検査と調査書のみで合否が決まります。そのため、一般受験生は特別な面接練習は不要です。ただし、中学校での面接指導や将来の進学・就職面接を見据え、基本的な受け答えの練習や自己PRの整理をしておくことは無駄にはなりません。なお、帰国生特別募集等で受験する場合は別途面接が課されるケースもありますが、一般選抜では面接がない点は安心して良いでしょう。
出典:学校説明会でのよくある質問とその答え(神奈川県立元石川高等学校)
特色検査
特色検査は実施されません。元石川高校では、いわゆる自己表現検査や実技検査などの学校独自問題は導入しておらず、入学者選抜は学力検査と内申点のみで判定されます。神奈川県内では特色検査を課す高校も一部ありますが、元石川高校はそれに該当しません。そのため、受験生は5教科の学力試験対策と内申点向上に専念すればよく、特色検査対策の必要はありません。
出典:学校説明会でのよくある質問とその答え(神奈川県立元石川高等学校)
合格ボーダーライン予測
元石川高校の合格ボーダーラインの目安として、内申点と学力検査点の組み合わせが挙げられます。例えば、内申点が100程度ある受験生の場合、5教科合計で約310点(1教科平均62点)を取れれば合格圏内と推定されています。逆に内申点が95前後とやや低めの場合は、5教科で約330点(平均66点)以上がボーダーラインの目安となります。実際の2023年度合格者の平均は内申103点・学力検査約320点前後(5科平均68点)であり、この水準に達すれば合格の可能性が高いと言えます。ただし年度や試験難易度によって必要点は変動するため、あくまで目安としつつも安全圏を目指して学力・内申ともに余裕を持って準備することが重要です。
倍率の推移
元石川高校の入試倍率は毎年ほぼ1.3倍前後で推移しています。過去3年間を見ると、2022年度1.30倍、2023年度1.34倍、2024年度1.39倍となっており、大きな変動はありません。2024年度はやや倍率が上がりましたが、それでも定員約360名に対し志願者約500名程度の安定した応募状況です。神奈川県全体の平均倍率(約1.17倍※2025年度)と比較すると高めですが、突出して高倍率の難関校と比べれば穏当な倍率と言えます。なお、募集人員や志願者数によって倍率は毎年多少変動するため、最新の倍率情報を県教育委員会や塾の速報等で確認し、受験戦略の参考にしてください。
出典:1 一般募集共通選抜志願締切時志願状況 (全日制の課程)(神奈川県ホームページ)
学費
元石川高校は公立高校のため、授業料は年額118,800円(月額9,900円)に設定されています。ただし、国の就学支援金制度により多くの家庭で授業料は実質無償となっており、一定の収入要件を満たせば全額免除されます。入学時には県立高校共通の入学金5,650円が必要です。また、制服代は男女とも約4万円程度、体育着約1.6万円、修学旅行費約10万円(1年8月から2年5月にかけ積立)などの初期費用がかかります。さらに、PTA会費や生徒会費等の諸会費が年間数万円程度必要です。ただし、これら費用についても経済的理由がある場合には減免制度が用意されています。公立高校ゆえ学費負担は私立に比べ軽減されており、経済的に安心して通学できる環境です。
出典:神奈川県を使いこなそう(神奈川県ホームページ)
高等学校等就学支援金制度(公立)(神奈川県ホームページ)
元石川高校 入学後にかかる経費(神奈川県立元石川高等学校)
推薦入試・帰国生入試
元石川高校では一般入試(一般募集)のみを実施しており、独自の推薦入試(学校長推薦)枠は設けられていません。一方、海外帰国生徒については、神奈川県全体で「帰国生特別募集」が実施される高校が限られており、元石川高校は帰国生特別枠を設けていません。しかし帰国生の受け入れ自体は可能であり、該当する場合でも一般入試の枠内で他の受験生と同様に受験・選考が行われます。帰国生で受験を検討している場合は、中学校や県教育委員会に相談の上、出願書類(海外在留証明等)の準備を進め、一般入試の日程に沿って出願してください。なお、推薦入試が無い分、全受験生が平等に学力試験と内申で競う形となります。
出典:学校説明会でのよくある質問とその答え(神奈川県立元石川高等学校)
過去問の入手方法と活用法
過去問(過去の入試問題)は、受験勉強において重要な教材です。元石川高校を目指す場合、神奈川県公立高校入試の過去問集を購入して繰り返し演習することが効果的です。市販の問題集として「神奈川県公立高校入試問題集(過去◯年分)」といった書籍が各社から出版されており、6~7年分の過去問と解答解説が収録されています。書店や通販(Amazon、楽天など)で入手可能なので、志望校が決まったら早めに購入しましょう。過去問は本番同様の時間配分で解いてみて、自分の弱点科目や苦手分野を洗い出すのに役立ちます。また、神奈川県入試特有の出題傾向(例えば独特な記述問題や資料読み取り問題)に慣れるためにも、最低でも直近5年分は演習しておくことが望ましいです。さらに、県内模擬試験(全県模試など)も積極的に受験し、過去問演習と組み合わせて実戦力を高めましょう。
出典:【過去問】神奈川県 公立高校入試[問題・正答](リセマム)
神奈川県立元石川高等学校の進学実績
大学合格状況
大学合格実績は、元石川高校の大きな強みの一つです。毎年、卒業生の約8割以上が四年制大学へ進学しており、進学率は非常に高水準となっています。直近の令和5年度(第38期生)の進路状況では、卒業生346名中291名(84.1%)が大学に合格・進学しました(短期大学1名、専門学校25名、就職2名、進学準備※26名を除く)。このように大半の生徒が現役で大学進学しており、難関国公立から有名私立大学まで幅広い合格実績を出しています。進学希望者には手厚い指導体制が整っており、生徒それぞれの志望に沿った進路実現が図られています。
出典:卒業生進路状況(神奈川県立元石川高等学校)
国公立大学合格実績
国公立大学への合格者も毎年一定数輩出しています。人数としては例年数名規模ですが、令和5年度は愛媛大学や横浜市立大学などに合格者を出しました。他にも、過去には金沢大学、高知大学、電気通信大学、前橋工科大学などの合格実績があります。元石川高校の学力水準および指導の範囲からすると、旧帝大級の超難関国立合格者は多くありませんが、地方の国公立や首都圏の公立大学への合格が着実に出ています。特に地元の横浜市立大学や、看護・医療系の公立大学(看護大など)への進学者もおり、難関私大志向の強い神奈川にあって国公立進学者がいるのは特徴と言えるでしょう。国公立大学を目指す生徒には、共通テスト対策や小論文指導など個別のサポートも行われています。
出典:卒業生進路状況(神奈川県立元石川高等学校)
私立大学合格実績
私立大学への合格実績は非常に豊富で、多くの生徒が有名私大に現役合格しています。特に地元の神奈川大学には毎年多数合格しており、令和5年度は在校生78名が合格(過年度含め計80名)するなど有力な進学先の一つです。また首都圏の難関私大にも一定の実績があり、明治大学・青山学院大学・中央大学・法政大学のMARCHや、学習院大学などへも合格者を出しています。例えば明治大学には令和5年度に現役8名(過年度含め計12名)、中央大学に現役10名(計25名)合格するなど、上位私大合格者も毎年多数います。さらに日本大学には毎年40~50名規模、専修大学や東海大学、帝京大学などの大規模総合大学にも多数の合格実績があります。加えて、女子大(日本女子大学・昭和女子大学など)や理工系私大(東京理科大学・芝浦工業大学など)、医療系私大(北里大学・東邦大学など)まで、多岐にわたる私大への進学者がいます。これらの結果から、元石川高校は幅広い私立大学への現役合格力を持つ学校であることが分かります。
出典:卒業生進路状況(神奈川県立元石川高等学校)
医学部医学科合格実績
医学部医学科への進学実績は多くはありませんが、近年私立医学部に合格者を輩出しています。過去3年間では、東京医科大学に1名、東京女子医科大学に延べ2名の合格者が出ています。また、医科系ではありませんが医療系総合大学の杏林大学(保健学域など)や国際医療福祉大学など医療分野の難関大学にも進学者がいます。国公立の医学部医学科合格者は現在確認できませんが、医学部志望の生徒には学校外の予備校等と連携しながら支援しているケースもあります。元石川高校として医学部合格は突出した実績ではないものの、意欲ある生徒が少人数ながら挑戦し結果を出しています。医学科を目指す場合、早い段階からの計画的な勉強と併願校戦略が必要ですが、在学中に充分な学力をつければ合格の可能性を開くことも可能です。
出典:卒業生進路状況(神奈川県立元石川高等学校)
現役進学率・浪人率
元石川高校の現役進学率(高校卒業と同時に進学した割合)は非常に高く、直近では90%超に達しています。令和5年度卒業生では前述の通り約91.6%が大学・短大・専門学校へ進学しており、浪人(進学準備)率は7.5%程度に留まりました。この浪人率7~8%前後という数字は、神奈川県内の進学校としては低めで、多くの生徒が現役で志望進路に合格できていることを示します。一方、現役での進路決定がかなわず浪人を選択した生徒に対しても、卒業後の進路支援(進学情報の提供など)を学校が行っています。現役合格を目指すには、早期からの計画的な受験勉強が大切ですが、元石川高校の環境と指導によって毎年高い現役進学率が維持されています。
出典:卒業生進路状況(神奈川県立元石川高等学校)
指定校推薦枠
元石川高校は多数の指定校推薦枠(大学から指定された推薦入学枠)を保持しており、これを活用して有名私大へ進学する生徒もいます。令和5年度には、法政大学や東京理科大学、明治学院大学、専修大学、武蔵大学といった首都圏の主要私立大学から指定校推薦の枠を提供されています。他にも、神奈川大学、関東学院大学、東海大学、東京薬科大学、芝浦工業大学、玉川大学、獨協大学、フェリス女学院大学など数多くの大学の指定校があります。これら指定校推薦は各大学が求める内申基準や校内選考を満たした生徒に与えられ、合格が保証される制度です。元石川高校では指定校推薦を希望する生徒に対して、校内選考(成績・人物面など)のうえ推薦を行っています。幅広い大学への指定校枠を確保しているため、一般受験だけでなく推薦入試による進学の道も開かれています。ただし指定校推薦枠は毎年変更される可能性があり、利用するには高い内申点と日頃の生活態度が求められます。
出典:卒業生進路状況(神奈川県立元石川高等学校)
神奈川県立元石川高等学校の評判・口コミ
良い評判・口コミ
元石川高校は生徒や保護者から面倒見の良い学校として評価されています。在校生に対する教員のサポートが手厚く、質問や進路相談がしやすい雰囲気です。実際、「先生方が親身になって相談に乗ってくれる」「困ったときに頼りになる」という口コミが多く見られます。学校側も「面倒見のよい学校」を標榜しており、教員と生徒が常に様々な場面でコミュニケーションをとっています。教育相談の専門教員を複数配置し、全生徒対象の三者面談(保護者・生徒・教員)を毎年夏休みに実施するなど、きめ細かな対応が特徴です。このような環境から、生徒たちは安心して学校生活を送り、勉学や部活動にも打ち込めているとの声が寄せられています。全体として「穏やかな校風で居心地が良い」「行事も盛んで高校生活を楽しめる」などポジティブな評判が多く、受験生・保護者にとっても安心材料となっています。
出典:学校説明会でのよくある質問とその答え(神奈川県立元石川高等学校)
塾の必要性
元石川高校は「塾フレンドリーな校風」とも評され、生徒の多くが放課後に塾や予備校で勉強を補完しています。しかし、塾が必須かと言えばそうではありません。学校自体が学習サポート体制を整えており、1・2年次には定期的に校内実力テストを実施し、3年次には希望者対象の進学補習講座(通年)やスタディサプリの団体利用なども提供しています。さらに学校から全員に全県模試(外部模擬試験)受験を推奨し、受験対策の一環としています。これらに積極的に取り組めば、学校の勉強だけで十分合格レベルに達することも可能です。一方で、難関大を目指す生徒や自宅での勉強に不安がある生徒は、塾で演習量を補ったり個別指導を受けたりするケースもあります。要は本人の学習スタイル次第で、塾を活用するかどうかを選べる環境です。元石川高校自体が生徒の自主学習を促しつつ、必要なサポートは惜しまない方針ですので、塾に通う場合でも学校との両立がしやすいでしょう。
出典:学校説明会でのよくある質問とその答え(神奈川県立元石川高等学校)
卒業生の声
卒業生たちは元石川高校での高校生活について、充実した3年間だったと振り返る人が多いです。特に「生徒の自主性を尊重する校風」が大学や社会に出てから役立ったという声が聞かれます。例えば、卒業生であり女子サッカー日本代表(なでしこジャパン)の清水梨紗さんは、在学中に培った自主性や仲間との協働が自身の成長に繋がったと述べています(清水さんは2021年に母校を訪問し、後輩たちにエールを送りました)。また別の卒業生からは「進路指導が手厚く、最後まで先生が支えてくれた」「行事や部活で得た経験が今の自分につながっている」といった声も寄せられています。指定校推薦で大学進学した卒業生は「高校時代の努力が評価され、夢の大学に進めた」と感謝の言葉を述べています。総じて、卒業生たちは元石川高校で得た学びや人間関係に強い愛校心を持っており、学校行事にOB・OGが訪れるなど縦の繋がりも大切にされています。
出典:なでしこジャパンの清水梨紗さんが表敬訪問されました。(神奈川県立元石川高等学校)
神奈川県立元石川高等学校の受験対策と勉強法
合格に向けた年間学習計画の立て方
元石川高校合格を目指すには、中学3年間を通した計画的な学習スケジュールが重要です。まず、中学1・2年生のうちは基礎学力の定着と内申点向上に力を入れましょう。特に神奈川県の公立入試では2年生と3年生の内申点が評価対象となるため、2年生の段階から主要5教科だけでなく副教科もしっかり取り組み、オール4以上の評定を目指すことが望ましいです。3年生になったら、夏までに入試範囲の総復習を終え、秋以降は過去問演習や模擬試験で実戦力を養います。夏休み前に弱点分野を洗い出し、夏期講習等で強化、9月以降は週単位で得点目標を決めて演習量を確保すると良いでしょう。年間計画としては、春(中3の4~5月)に基礎固め→夏(7~8月)に応用力強化→秋(9~11月)に過去問演習と模試受験→冬(12~翌2月)に総仕上げ、という流れが一つのモデルになります。学校の三者面談等でプロの意見も聞きつつ、自分だけの学習スケジュール表を作って取り組むことが合格への近道です。
内申点対策
内申点対策は早期から取り組むことが重要です。元石川高校の合格者平均内申が約34(45満点中)と高めであることからも、日頃の成績を疎かにできません。対策の基本は「定期テストで高得点を狙う」「提出物を期限までに丁寧に出す」「授業中の発言・態度で積極性を示す」ことです。特に副教科(実技4教科)は得点化しづらいぶん評価が分かれやすいので、実技レポートや作品提出、技能テストなども真剣に取り組みましょう。神奈川県では内申点135点満点中、主要5教科だけでなく4教科も含めたオールラウンドの評価が鍵となります。また、授業態度や提出物は「主体的に学習に取り組む態度」の評価につながり、第二次選考でポイントとなる場合があります。日頃からノートをしっかり取り、わからない箇所は先生に質問するなど学習意欲を示すことで、内申点アップが期待できます。定期テスト前には計画的な勉強スケジュールを立て、得意科目は満点を目指し、苦手科目も平均点以上を確保するよう努力しましょう。コツコツと取り組んだ姿勢は必ず評価に反映され、志望校合格へ近づくはずです。
学力検査対策(5教科目標点・科目別対策・おすすめ参考書)
学力検査対策では、5教科バランスよく点数を取る戦略が求められます。元石川高校合格者の学力検査平均点は、直近で5科合計320~340点(1科平均64~68点)となっており、最低でも各科目6割以上を目標にすると良いでしょう。科目別の対策として、英語は長文読解とリスニングに慣れることが重要です。教科書内容の復習に加え、県入試の長文問題を時間内に読み切る練習をしましょう。数学は基礎計算の正確さと図形・関数問題の演習量が鍵です。過去問を解くと出題パターンが見えてくるので、間違えた問題は類題を市販の問題集で再練習します。国語は漢字や語彙の基礎を固めた上で、説明的文章と文学的文章の読解問題で記述力を養います。理科と社会は一問一答や用語集で基本事項を暗記するとともに、計算問題(理科)や資料読み取り(社会)など県入試の頻出形式に慣れておきます。
おすすめの参考書・問題集としては、まず神奈川県公立高校入試の過去問集は必携です。過去問を解くことで出題傾向が掴め、自分の苦手分野も明確になります。また、教科別には「新研究(東京書籍)」シリーズや「高校入試〇〇(科目名)が1冊でしっかりわかる本(文英堂)」などの総復習本が定評あります。英語は「英単語ターゲット1200」等で語彙強化、数学は「フォーカスゴールド中学数学」等で応用力強化をすると効果的です。最後に模擬試験を積極的に受け、時間配分や試験慣れも身につけましょう。学校でも全県模試の受験を推奨していますので、模試の結果を分析して学習計画にフィードバックすることが大切です。
特色検査対策
前述の通り、元石川高校では特色検査が実施されないため、特色検査そのものの対策は不要です。グループ討論やプレゼンテーション、実技試験といった特殊な試験は課されず、一般的な5教科筆記試験のみとなります。そのため、受験生は特色検査用の対策よりも、学力検査と内申対策に時間を充てるべきです。ただし、他校併願で特色検査を課す高校を受験する可能性がある場合は、その学校に合わせた準備が必要となります。元石川高校に限って言えば、特色検査の心配は無用なので、その分主要5教科の勉強に専念してください。
出典:学校説明会でのよくある質問とその答え(神奈川県立元石川高等学校)
面接対策
一般入試において面接は課されませんので、元石川高校志望者は筆記試験対策と内申向上に集中すれば問題ありません。ただし、中学校での進路指導や併願校として受験する私立高校で面接があるケースも考えられます。そのため、基本的な面接マナーや自己PRの準備はしておいて損はありません。例えば、「志望理由」「中学校で力を入れたこと」「将来の夢」などの定番質問に自分なりの回答をまとめ、家族や先生に模擬面接をお願いして練習すると良いでしょう。面接ではハキハキとした受け答えや笑顔・アイコンタクトなど第一印象も重要です。加えて、質疑応答では結論から簡潔に話し、質問の意図に的確に答えるよう心がけます。元石川高校では入試面接が無いとはいえ、高校入学後や大学入試、就職活動など今後面接の機会は多く訪れます。早めに面接慣れしておくことは将来にも役立つため、余裕があれば中学卒業前に面接練習を経験しておくと良いでしょう。
出典:学校説明会でのよくある質問とその答え(神奈川県立元石川高等学校)
過去問・模擬試験活用法
過去問演習と模擬試験の活用は志望校合格への実戦力を養う鍵です。まず、神奈川県公立高校入試の過去問は少なくとも直近5年分を入手し、時間を計って解いてみましょう。繰り返し解くことで問題傾向に慣れ、苦手分野を洗い出すことができます。過去問は前述のように市販の問題集(6年+1年分など収録)を購入して取り組みます。解き終えた後は解答解説を熟読し、自分のミスを分析して次に活かすことが重要です。
並行して、模擬試験も積極的に受験しましょう。神奈川県内では「全県模試」など公立入試に特化した模試が定期的に開催されています。元石川高校でも3年生の6月以降、校外模試の受験を奨励しており、本番の雰囲気に慣れる意味でも校外模試を積極的に受けるよう指導しています。模試では現在の志望校合格可能性や弱点が客観的に分かるため、復習して学習計画の修正に役立てましょう。過去問→模試→復習のサイクルを繰り返すことで実力が着実に向上し、入試本番でも落ち着いて実力を発揮できるようになります。
出典:学校説明会でのよくある質問とその答え(神奈川県立元石川高等学校)
併願校パターン
元石川高校を第一志望とする受験生の多くは、併願校として私立高校を1~2校受験します。その併願パターンとしてよく選ばれるのが、学力偏差値帯が近い私立高校です。具体的には、麻布大学附属高等学校(神奈川・偏差値中堅)、駒場学園高等学校(東京・中堅)、横浜翠陵高等学校(神奈川・中堅上位)、相模女子大学高等部(神奈川・女子校)、横浜商科大学高等学校(神奈川・中堅)などが併願先の例として挙げられます。これら私立高校は、公立入試前の2月上旬~中旬に試験が行われ、公立志望者向けの併願優遇制度(内申基準を満たせば合格確約)を設定している場合があります。併願校選びのポイントは、「本命校に落ちても通える私立」を確保することです。安全校(偏差値がやや低め)と実力相応校(同程度)をバランスよく併願することで、公立入試の精神的負担も軽減されます。塾や学校の進路指導と相談しながら、自分の学力や将来の希望に合った私立高校を選定しましょう。元石川高校の受験生の場合、首都圏の私立中堅校を1~2校併願するケースが多く、併願校でもしっかり合格を確保した上で公立本番に臨むのが一般的な戦略となっています。
まとめ
神奈川県立元石川高等学校は、「面倒見のよい学校」を掲げる教員陣の手厚いサポートのもと、生徒が主体的に学び・挑戦できる環境が整った進学校です。偏差値は55前後と中堅上位で、難関すぎず学力検査5教科対策に集中できる点が受験生には魅力です。部活動は運動・文化合わせて20超、陸上競技や吹奏楽など県大会常連の部もあり、文武両道で高校生活を満喫できます。進学実績では卒業生の8割超が四年制大学へ進学し、神奈川大78名・明治大12名など難関私大への指定校推薦や一般合格も豊富です。入試は面接・特色検査なし、内申と5教科500点満点の学力検査で公正に判定されるため、誰にでも逆転チャンスがあります。合格者の学力検査平均は320~340点(5科平均64~68点)で、内申100を軸に6割超の得点を目標にすると安全圏です。早期から定期テストで副教科まで評定4以上を確保し、夏以降は過去問と全県模試で仕上げれば十分射程内に入ります。「自主性を磨き、コツコツ継続、最後まで粘り強く」——その姿勢が元石川高校合格と充実した3年間への鍵となるでしょう。
出典:学校説明会でのよくある質問とその答え(神奈川県立元石川高等学校)