中学受験をする小学生の勉強時間は何時間?偏差値ごとに基準や勉強法を紹介
「中学受験の勉強は1日何時間くらいすればいい?」と悩む親御さんは多いでしょう。中学受験の勉強は一般的に小学4年生から始まり、学年が上がるごとに1日の勉強時間も長く取る必要があります。
勉強時間は長ければ長いほどいいわけではありませんが、中学受験に必要な学習量をこなすには、家庭での学習時間を確保する必要があります。
本記事では、中学受験をする小学生の勉強時間の目安を学年別・偏差値別にご紹介します。基本4科目の勉強法や、勉強スケジュールの立て方、子どものために親ができることなども解説するので、ぜひ参考にしてください。
中学受験をする小学生の勉強時間
中学受験をする小学生は、塾に通っていても家庭での勉強が必要です。中学受験をする小学4年生から6年生の勉強時間の目安をご紹介します。
小学4年生・5年生の勉強時間の目安
中学受験をする場合、小学4年生から本格的に勉強を始めるのが一般的です。小学4年生・5年生の勉強時間の目安は、平日で1日平均1〜3時間です。土日は4年生なら2〜3時間、5年生なら4〜5時間は確保しましょう。
この中に塾での勉強時間は含まれていません。勉強時間に幅があるのは、塾がある日とない日で家庭学習に確保できる時間に差があるからです。
中学受検をする場合、4〜5年生から勉強習慣を身に付けておくことが重要です。早い段階から勉強習慣を付けておけば、学年が上がってさらに勉強時間が長くなっても、負担なく取り組めます。
いきなり長時間机に向かおうとすると勉強が苦痛になるため、4年生はまず毎日机に向かう習慣を付けることから始めましょう。5年生になると4年生の頃より長い勉強時間が必要です。休憩を挟みながら、集中して机に向かう時間を少しずつ長く確保しましょう。
小学6年生の勉強時間の目安
中学受験を目前に控えた小学6年生の場合、平日は3〜5時間、土日は8〜10時間の勉強が目安です。1日の学習時間が長いため、集中して勉強する習慣を身に付けるだけでなく、休憩を取ってから再度集中して勉強に取り組みましょう。
6年生になると、平日も土日も長時間の勉強時間を確保する必要がありますが、人間の集中力は長く続きません。集中力が切れると効率が悪くなるため、90分を目安に休憩を挟みましょう。リフレッシュできるので、また集中して勉強に取り組めます。
4〜5年生のうちに勉強習慣を身に付け、学年が上がるごとに勉強時間を少しずつ増やせば、6年生になって勉強時間が増えても集中力をキープして学習に取り組めるでしょう。
偏差値別の小学生の勉強時間・勉強方法
勉強時間が長ければ偏差値が上がるわけではありませんが、偏差値が高い子どもは比較的長い勉強時間を確保しています。偏差値50・60・70の小学生の勉強時間や勉強方法をご紹介します。
偏差値50の小学生
小学生の偏差値50は、比較的高い数字です。小学生の偏差値は、中学受験のために勉強を頑張っている子どものみが母集団を作ります。偏差値50は中学受験をする学力が高い子どもの中で中間くらいのレベルです。
偏差値50の小学生は、ある程度の学習時間を確保できています。偏差値60以上の小学生と勉強時間に関しては大差ありません。異なる点は勉強効率です。偏差値50のお子さんは、次のような工夫をして効率よく勉強すると、偏差値を伸ばせるでしょう。
- 基本をきっちり理解する
- 分からないことは塾の先生に聞いて解決する
- 模試の見直しを行い、得意な分野と苦手な分野を把握する
- 苦手な分野を集中して勉強する
- 模試を受ける際は分かる問題と分からない問題を見極めて問題を取捨選択し、正答率を上げる
偏差値60の小学生
偏差値60の小学生はかなり優秀です。偏差値50の小学生と比べて、勉強時間がかなり長いわけではありませんが、主に次のような点が違います。
- 勉強の基礎が身に付いている
- 苦手分野が少ない
- 長期的な勉強スケジュールを立てて実行できている
- 入試試験の出題傾向を確認している
- 中学受験に対する意識が高い
偏差値60の小学生は基礎が身に付いているため、応用問題も解けます。分からないことがあればすぐに先生に質問して解決するため、苦手分野も少ないです。
受験勉強は長丁場なので、漠然と勉強するのではなくスケジュールに沿った勉強が大切です。偏差値60の小学生は、長期的なスケジュールを立てて実行できています。
試験の出題傾向を知っておくことも重要です。試験の出題傾向に特徴がある学校も多いため、過去の問題集を解いて出題傾向を把握しておきましょう。
偏差値60の小学生は、中学受験の目的がはっきりしていて、自主的に勉強していることも特徴です。親に勉強をやらされているのではなく自発的に勉強しているため、考える力を問う問題にも対応できます。
偏差値70の小学生
偏差値70の小学生は、中学受験をするお子さんの中でも、上位2〜3%に入ります。普段から毎日人一倍勉強していますが、勉強時間を確保しているだけでなく高い集中力を維持できるため、質の高い勉強が可能です。
偏差値70のお子さんは、親に勉強をやらされているわけではなく、自主的に学習する習慣が付いています。志望校合格という目標意識を持っているため、学習に意欲的です。
中学受験の基本4科目と各勉強方法
中学受験の教科は国語・算数・理科・社会の4教科が基本です。各教科の勉強方法を解説します。
国語
国語の単元を大まかに分けると漢字と熟語、読解です。漢字や熟語は、どちらも暗記が必要です。一度覚えても復習しなければ忘れてしまうため、翌日や1週間後、1ヶ月後など、日を空けて何度も繰り返しテストすると定着します。漢字や慣用句の勉強は毎日の習慣にしましょう。
読解問題は本文を理解する力と設問を解く力が必要なので、できるだけ多くの問題を解いて慣れることが大切です。指示語が指す意味や人物の心情の変化など、文章を理解するために必要なポイントには線を引きながら読みましょう。
要約がまとめられている「つまり」、反対意見が述べられている「しかし」などの言葉にも注意が必要です。最終的に解説にある解き方と同じになるのが目標です。
選択肢問題は、選択肢の誤っている箇所に印を付けていくと効率よく見直しができます。「必ず」「まったく〜ない」などの選択肢は、本文中で断定表現されていないこともあるので注意しましょう。
算数
中学受験の算数で重要な単元は図形・割合・比・特殊算(つるかめ算・旅人算・濃度算など)です。図形は面積や内角など基本的な問題もありますが、比が絡んだ相似や面積比を出す問題も頻出されます。さまざまな問題演習を解いておきましょう。
割合は、何と何を比べているのかきちんと整理が必要です。割合を理解するには分数を理解する必要があります。また、比は分数と割合を理解していなければ解けません。比が苦手な場合は分数と割合まで戻ってしっかり理解しましょう。
特殊算は応用問題として出題されることが多いため、どの公式を使えばいいか見極めが必要です。できるだけ多くの問題を解いて、整理しておきましょう。
理科
中学受験の理科の重要単元は生物・地学・物理・化学です。それぞれ勉強方法が異なるため、単元ごとの勉強方法を見直しましょう。
生物は覚えるべき量が多いですが、覚えた分だけ点数アップにつながるため、比較的短期間で成績を上げられます。演習問題より暗記に力を入れて知識量を増やしましょう。
地学の出題範囲は天体・天気・地層・河川などです。なかでも天体の問題が頻出されます。自分、太陽、月、星の関係や、それぞれどのように動くか理解できるように、位置関係を図で描いて整理しましょう。
化学の出題範囲は体積・気体・結晶・金属・pH・濃度などです。計算問題が出題されるため、計算が得意な子どもは点数を取りやすいでしょう。しかし、難易度の高い計算問題も出題されるため、計算ミスをすると同じ大問のほかの問題も不正解になってしまいます。正確に計算できるよう途中式を書くなどして対策しましょう。
近年はグラフの読み取り問題も頻出されます。物質の溶け方の問題はグラフの読み取りに加えて複雑な計算を求められる場合が多いため、演習問題を何回も解いて解き方を理解しておきましょう。
物理は出題範囲が広く、暗記して解ける問題は少ないため、原理をしっかり理解しておく必要があります。原理を理解するだけでなく使えるようにならなくてはいけないため、演習問題を積極的に解きましょう。「てこ」や「滑車」などの力学分野は頻出問題です。演習問題は図を用いて解くことを意識しましょう。
社会
社会の重要単元は歴史・地理・公民です。暗記すべきことが多いため、覚えたら覚えただけ点数アップにつながります。歴史は人物や年代などを覚える必要がありますが、時代背景を想像しながら学習すると思考の幅が広がります。伝記や歴史マンガを活用して勉強するのもよいでしょう。
地理は都道府県や県庁所在地、川、山地などを覚える必要があります。位置と一緒に覚えておきましょう。地理は普段の生活と密接にかかわっているため、食品の産地など日常生活の中でも学習できます。暗記するだけでなく情報を結び付けておくと記憶に残りやすいです。
公民は時事問題を考える習慣を付けておくと勉強になります。学習した内容を理解できるように、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。公民では法律に関する問題が出題されます。なかでも憲法は基本なので、知らない単語を調べたり、問題を解いたりして内容を理解しておきましょう。
中学受験における勉強スケジュールの立て方
中学受験の勉強に取り組むには、スケジュール管理が重要です。小学校高学年になると学校や塾の宿題が増えるうえに、勉強の内容は難しくなります。塾や習い事、学校のクラブ活動などもあるため、勉強時間を確保するためにはスケジュール管理が重要です。
スケジュールを立てることで、毎日の勉強を習慣化できます。いつどのような勉強をするか管理すれば、教科ごとの勉強の偏りをなくし、受験までにやるべきことが明確になります。
スケジュールを立てるときは、親子で一緒に考えましょう。小学生がスケジュールを自分で立てて管理するのは難しいため、保護者のサポートが必要です。毎日の学習の進捗状況や毎月の振り返りなども親子で一緒に行いましょう。
年間スケジュールを決める
まずは年間スケジュールを立てましょう。4年生・5年生は基礎固めと応用問題をどの時期に行うか決めます。6年生は基礎固めと応用問題に加えて過去問演習に取り組む必要があります。5年生までに基礎固めがある程度終わっていれば、基礎固めの時期は短めでよいです。
1ヶ月のスケジュールを決める
年間スケジュールを元に、4教科の1ヶ月ごとの勉強スケジュールを決めておきましょう。いつまでに何を勉強するか決めておくと、毎日やるべきことが明確になります。
1日のスケジュールを決める
毎日やるべきことを明確に決めると、月間スケジュールも予定通りに進みます。その日に何を勉強するか具体的に決めましょう。
1日のスケジュールは勉強以外の食事や入浴、就寝時間を考慮して決めます。10分単位でスケジュールを組むと隙間時間も有効に活用できます。長時間続けて勉強しても、集中力は続かないため、休憩時間もスケジュールに組み込みましょう。
子どもの中学受験において親ができること
中学受験を控えたお子さんは小学生なので、親御さんのサポートが必要です。子どもの中学受験において、親ができることを4つご紹介します。
食事や生活リズムの管理
子どもの体調管理のために、食事の栄養バランスや生活リズムの管理を親がサポートしましょう。特に夏休みや春休みなど長期休暇は生活リズムが崩れてしまう場合があります。夜更かしして朝寝坊すると、スケジュール通りに勉強が進みません。中学受験には体調管理が大切なので、しっかりサポートしてあげましょう。
志望校・塾の情報のリサーチ
志望校の情報を調べるのも親の役割の1つです。小学生が自分で中学受験に必要な情報収集を行うのは難しいため、親がリサーチしましょう。志望校が決まったら、出題傾向や合格率の高い塾の情報、受験のスケジュール、受験当日の持ち物なども正確に調べる必要があります。
精神面のサポート
中学受験をする子どもは、受験の日程が近づいてくると不安になり、ストレスを感じてしまうことがあります。子どもの不安な気持ちを親がサポートしてあげると、精神面が安定して受験勉強に集中できるようになります。
たまには一緒に外出して、気分転換する日を作るのもよいでしょう。どのようにサポートしてあげたらよいか分からないときは、塾の先生に相談するのもおすすめです。
塾以外でも勉強しやすい環境を整える
塾でないと集中して勉強できない子どももいますが、家庭でも勉強しやすいように環境を整えてあげましょう。小学生なので、机の近くにゲームやスマホ、漫画などがあると、どうしても気が散ってしまうでしょう。学習机の近くにはできるだけ勉強の妨げになるものを置かないようにして、勉強に集中できる環境を整えてあげましょう。
まとめ
中学受験に合格するには、家庭での勉強時間を確保する必要があります。しかし、勉強時間ばかりにとらわれてダラダラ勉強するのは効率がよくありません。集中力を保てるように、適度に休憩を挟みながら効率よく学習しましょう。
中学受験をする子どもは、学年が上がるごとに長い勉強時間が必要になります。受験勉強が本格化する小学4年生になる前から毎日机に向かう習慣を付けておくと、勉強に対する抵抗を減らせるでしょう。
ただし、睡眠時間を削って勉強にあてるのは勉強効率を下げるだけでなく、体調を悪化させる恐れがあります。睡眠時間はしっかり確保して、隙間時間や朝の時間を活用しましょう。
食事・生活リズムの管理や精神面のサポートなど、親御さんがしてあげられることはたくさんあります。集中しやすい環境を整えてあげることも大切です。家族でお子さんをサポートして、勉強時間を確保できるようにしてあげましょう。