【横浜市立南高等学校の受験情報完全ガイド】偏差値・進学実績・入試・過去問・評判から受験対策まで解説!

はじめに
横浜市立南高等学校は、中高一貫教育で高い学力実績を誇る横浜市屈指の公立高校です。
国際的な視野を育むSGH指定校に選出されたこともあり、難関大学への合格者を多数輩出する点で受験生・保護者から高い注目を集めています。
本記事では、南高の偏差値や進学実績、入試情報、評判、効果的な受験対策まで徹底解説します。
横浜市立南高等学校ってどんな学校? 概要まとめ
基本情報
横浜市立南高等学校は神奈川県横浜市港南区東永谷に所在し、1954年(昭和29年)創立の全日制普通科高校です。
2012年には附属中学校が併設され、中高一貫教育を実施しています。男女共学で、「横浜市立」の名称どおり横浜市が設置・運営する市立高校です。
設立当初は定時制高校から普通科全日制に改組された歴史を持ち、現在は附属中から内部進学する生徒と、高校入試で入学する生徒が在籍しています。
所在地は市営地下鉄ブルーライン上永谷駅から徒歩約15分、京急線上大岡駅からはバス(「南高校前」下車徒歩1分)でもアクセスできます。
校風・特色
南高の校風は「自主自立」の精神を重んじ、文武両道でグローバルな人材育成を目指す点に特色があります。
文部科学省からスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定されたこともあり、全6年間を見通した横断的カリキュラムで国際社会で活躍できる力を養成する教育方針です。SGHの一環で海外研修(ベトナムやシンガポールでのイマージョン研修)や専門家招致の講義など、国際的な行事・プログラムが充実しています。
校舎設備も充実しており、6階建ての校舎には384席のホールやプラネタリウム、セミナーハウス(合宿研修施設)まで備え、学習・行事の環境が整っています。
年間行事としては、9月の「南高祭」(文化祭)や体育祭、遠足や修学旅行など、中高一貫校ならではの一体感ある行事が多彩です。
全体として、生徒の主体性を育みつつ高度な学問探求を支える校風と言えます。
部活動
南高では運動部・文化部合わせて約24の部活動が活発に活動しています。
高校では運動部が野球、サッカー、バレーボール(男子・女子)、バスケットボール(男子・女子)、テニス(硬式・軟式、男女)、陸上競技、水泳、剣道、弓道、ハンドボール、ダンス、バドミントンなど幅広く揃い、文化部も吹奏楽、軽音楽、演劇、美術、書道、茶道、料理、コンピュータ、弦楽オーケストラ、放送、かるた会、文芸など多彩です。
一部の部は中高合同で活動する場合もありますが、基本的には高校生のみの組織として活動し、附属中から内部進学した生徒も高校進学時に改めて部活動を選択できます。
実績の面では、水泳部や弓道部が県大会でも上位の常連として知られ、料理部は2010年に高校生スイーツコンテスト「スイーツ甲子園」に出場した経歴もあります。
毎年3月には音楽部(吹奏楽・弦楽部門)が関内ホールで定期演奏会(2019年に第56回)を開催するなど、文化系も含め熱心な活動が展開されています。
部活動は週4日程度(平日4日+土日のどちらか)と文武両道が可能な範囲で行われ、生徒たちは勉強との両立を図りながら充実した学校生活を送っています。
出典:部活動(横浜市立南高等学校)
横浜市立南高等学校音楽部 第56回 定期演奏会(関内ホール)
制服
南高の制服は、男子が黒の詰襟学生服(学ラン)、女子がブレザーというスタイルです。
正装時は男子は金ボタンの学ラン、女子はブレザーにスカートまたはスラックスという組み合わせで、女子でもズボン着用が可能となっており、性別に関わらず動きやすさが考慮されています。
夏服では男女とも白いワイシャツまたは白ポロシャツを着用します。全体的に「至って普通の」伝統的制服ですが、清潔感があり、生徒からも親しまれています。
なお、附属中学校の制服とはデザインが異なりますが、高校入学時に新たに制服を揃える形になります。
出典:2025年度 南高等学校附属中学校 制服のご案内(横浜市立南高等学校)
教育目標・校訓
南高の教育目標は「学びへの飽くなき探求心を持つ人材の育成」、「自ら考え、自ら行動する力の育成」、「未来を切り拓く力の育成」の3つです。
具体的には、基礎学力を充実させ主体的に学ぶ態度を育成すること、人権を尊重し他者を思いやる豊かな心を養うこと、心身ともに健康でたくましく生きる力を育てること、そして将来社会のリーダーとなる素養を培うことが掲げられています。
教育理念は「知性」「自主自立」「創造」であり、生徒一人ひとりが自ら考え行動できる人間になるよう指導がなされています。
また、2015年度からのSGH指定を受けて、国際社会で活躍できるグローバル人材育成もミッションに据えられています。
学校のスクール・ポリシーでは、「多様な価値観を認め合い国際社会に貢献できる人材の育成」が謳われており、探究活動「TRY & ACT」など独自の教育プログラムにその方針が反映されています。
略称
横浜市立南高等学校は、地元や関係者の間では「南高(なんこう)」の愛称で呼ばれています。高校単体を指す場合は単に「南高」、附属中学校と区別する際には「南高附属中」(なんこうふぞくちゅう)とも呼ばれます。
文化祭は「南高祭」と称され、在校生・卒業生には「南高」という呼び名が深く浸透しています。
アクセス
南高へのアクセスは、公共交通機関と徒歩またはバスの組み合わせになります。
最寄りは横浜市営地下鉄ブルーラインの上永谷駅で、駅から学校までは徒歩約15分です。もう一つのアクセス方法として、京浜急行線の上大岡駅から横浜市営バス「南高校前」行きを利用し、「南高校前」停留所で下車すると徒歩1分で校門に到着します。
上大岡駅からバス乗車時間は約15〜20分程度です。周辺は丘陵地帯で坂道もありますが、通学路は比較的安全に整備されています。
自宅からの通学時間などを考慮しつつ、上永谷駅から歩くルートと上大岡駅経由のバスルートを検討すると良いでしょう。
自転車通学は許可制で、距離や安全面の条件を満たせば認められる場合もあります。
横浜市立南高等学校の偏差値・内申点目安

最新の偏差値
南高の最新の偏差値は概ね62前後とされており、これは神奈川県内の公立高校ではトップクラスの水準です。
全県的に見ても上位校に位置し、横浜市内では最難関に属する偏差値帯となっています。
なお、附属中学校からの内部進学組は中学受験時の偏差値が68程度とも言われ、高校募集の偏差値62と合わせて考えると、在校生全体の学力層が非常に高いことがわかります。
南高を志望するには偏差値60台前半〜中盤の学力が求められると言えるでしょう。
出典:横浜市立南高校(神奈川県)の偏差値 2025年度最新版(みんなの高等学校)
合格に必要な内申点の目安
南高合格のためには、内申点(調査書点)でオール4以上、可能なら主要5科目は5を取るくらいの成績が理想です。
神奈川県公立入試では中学3年の内申(5段階×9教科=45点満点)を2倍し、中2の内申(45点満点)を加えた135点満点で評価されます。
南高の最近の合格者平均を見ると、内申点は約110〜115/135となっており、例えば2024年度入試合格者の平均は114.4点(9科目評定オール「38」相当)でした。これは概ね「オール4と一部5」のイメージで、受験生の多くが内申オール4以上を確保しています。
合格者の内申分布から見ると、最低でも105前後(9科オール3と4の中間程度)が目安で、これを下回る場合は当日の学力検査で相当高得点を取る必要があります。実際、ある進学塾の試算では「内申115の場合は当日5科合計380点前後、内申110なら395点前後が合格ライン」とされています。
内申点が高いほど当日点に多少余裕が持てますので、日頃の定期テストや提出物をしっかりこなし、内申確保に努めましょう。
近隣/同レベルの高校との比較
南高は横浜市内ではトップレベルで、神奈川県全体で見ても有数の進学校です。
その偏差値帯で比較される公立高校には、県立の横浜翠嵐高校や柏陽高校、湘南高校、横浜緑ヶ丘高校などが挙げられます。
これらはいずれもさらに高い難度ですが、南高も特色検査が無い分、学力検査と内申勝負で難関となっています。
また、同じ横浜市立高校である横浜市立桜丘高校や市立金沢高校などは南高よりやや易しく、南高志望者の併願校にもなります。
南高は市立で唯一の中高一貫校である点で他校と一線を画し、内部生による実績向上などで近年存在感を増しています。例えば東京大学の推薦入試合格者数では、伝統的トップ校の翠嵐・湘南を上回る成果を出したことも話題となりました。
総じて、南高は「県内でも屈指の進学校」と評され、地域で最難関クラスの高校として認知されています。
他校と比較しても学習環境や実績で引けを取らないどころか、グローバル教育など独自の強みを持つ点が南高の特色です。
出典:「横浜市立南」躍進の背景 東大推薦で翠嵐と湘南を上回る | 特集(東洋経済オンライン)
横浜市立南高等学校の入試情報(2025年)
募集定員・入試日程
南高の募集定員は1学年あたり200名ですが、そのうち約160名は附属中学校からの内部進学生で占められます。
したがって、高校からの一般募集枠は毎年約40名程度(2025年度は38名)と非常に狭き門です。募集人員の内訳には帰国生特別枠や推薦枠は基本的になく、一般入試で全員を選抜します。
2025年度入試の日程は神奈川県の共通日程に沿って行われ、願書受付(インターネット出願)は1月下旬(1/23〜1/29)、志願変更期間が2月上旬(2/4〜2/7)に設定されています。
学力検査(筆記試験)は2025年2月14日(金)に実施され、面接(および特色検査)は同日および2月17日(月)・18日(火)に行われます。
合格発表は2月28日(金)に各校一斉に行われ、その後合格者登校日や入学手続き(書類提出・制服採寸など)が指定された日程で進みます。
募集人員が極めて少ないことと、共通選抜の日程・手順に沿ってスケジュールが進むことを念頭に、入試準備を進める必要があります。
出典:令和7年度神奈川県公立高等学校入学者選抜における特色検査、面接(特別募集)の学校独自の提出書類の様式(神奈川県ホームページ)
選考基準
南高の選考は、学力検査(筆記試験)と調査書(内申点)を重視する比率で行われます。
第一次選考では調査書:学力検査の比重が4:6に設定されており、学力検査の配点がやや高く設定されています。南高では特色検査(自己表現検査や実技検査)は課されないため、筆記と内申と面接で総合評価する方式です。
なお、南高では学力検査5教科500点満点に対し英語の得点を1.5倍にする重点化措置があります。これは国際教養を重視する学校の方針を反映したものです。
一方、内申点について科目ごとの特別な加点(いわゆる○教科重視)はありません。
面接は全受験者に実施されますが、評価への扱いは第一次選考では調査書・学力によるS値で行い、第二次選考(定員残り約10〜20%分)で学力重視(学力8:面接2)で判定されます。
分かりやすく言えば、まずは内申+筆記で合格ライン上位から決め、それに漏れた受験者を対象に筆記点の高い順等で追加合格者を決める形です。
以上のように、南高入試では筆記試験の得点力が合否を大きく左右しますが、一定水準の内申と面接での評価も合格には不可欠となります。
学力検査
学力検査は国語・数学・英語・理科・社会の5教科で行われ、各教科100点満点・試験時間50分という神奈川県共通の形式です。
南高独自の問題ではなく、県下一斉に同じ問題が出題されます。
英語についてはリスニングを含む問題構成で、長文読解や英作文も出題されます(南高では得点を1.5倍に換算)。
数学は図形分野や関数の応用問題など思考力を問う良問が多く、証明問題や複合問題も含まれます。
国語は論説文・文学的文章の読解に加え、漢字や古典の基礎、作文(記述問題)もあります。
理科は物理・化学・生物・地学の各分野から満遍なく出題され、計算や実験考察問題が頻出です。
社会は地理・歴史・公民からバランスよく出題されますが、神奈川県入試の特徴として資料読み取り問題が多く、グラフや地図、統計を使った考察が必要です。
南高合格者の筆記平均点は5科計360点前後(1科約72点)であることから、志望者は5科合計400点(1科平均80点)を目標にしたい難易度です。時間配分も重要で、過去問演習を通じて50分で解き切る練習を積むことが高得点への鍵となります。
調査書(内申点)
調査書(内申点)は中学3年時の9教科評定を2倍、2年時評定を1倍して合計する形で得点化されます(満点135点)。
これは神奈川県公立入試の共通ルールで、南高でも適用されます。たとえば中3がオール5なら90点、中2がオール5なら45点で計135点となります。
南高志望者は中3でオール4以上を取る生徒が多く、合格者平均は3年評定「38」程度(=3年オール4と一部5)でした。調査書点に関して南高独自の重点化(特定教科を重視して評点を加算する制度)はありません。
かつて神奈川県では内申加点として主要4教科オール3で+10点などの制度がありましたが、現在南高含む市立高校ではそういった措置は行われていません。
したがって全教科まんべんなく成績を上げることが重要です。なお、附属中から内部進学生には高校受験時の調査書は存在しないため、外部受験組の選考のみで内申点が用いられます。
以上より、南高を受験するには中学での定期テスト・提出物・授業態度をしっかり管理し、可能な限り高い内申点を取っておくことが求められます。
面接
南高では全員に個人面接が課されます(2025年度は学力検査当日および翌週に実施)。
面接は受験生1人に対し面接官(教師)2人程度で行うことが多く、所要時間は5〜10分程度です。形式は質問に対して口頭で答える一般的な内容で、グループ討論などはありません。評価の観点としては、志望動機が明確に語れるか、中学校での取り組み(部活・生徒会・学習など)を自分の言葉で説明できるか、そして将来の目標や南高でやりたいことがしっかりしているか、といった点が重視されます。
たとえば「南高校を志望した理由を教えてください」「中学校生活で一番力を入れたことは何ですか」「将来の夢や興味のある分野を聞かせてください」といった質問が想定されます。
面接官は生徒の受け答えを通じ、コミュニケーション能力や意欲、人柄などを評価します。
南高の場合、第一次選考では面接評価は直接点数化されず、第二次選考で学力検査点と組み合わせて考慮される仕組みですが、面接で極端に問題があれば合否に影響し得ます。
従って、ハキハキと明るい態度で受け答えし、自分の言葉で南高への熱意や中学での学びを語れるよう準備しておきましょう。
特色検査/自己表現検査など
南高では特色検査(自己表現検査や実技検査)は実施していません。
神奈川県立高校の一部(横浜翠嵐や柏陽など計18校)は特色検査として共通の自己表現問題を課していますが、横浜市立南高等学校はその実施校に含まれておらず、学校独自課題の提出などもありません。
したがって受験生は5教科の学力検査と面接・調査書の対策に専念すればよく、特色検査のための特別な準備は不要です。
強いて言えば、南高の場合は面接が本人の個性や表現力を見る場となるため、自己PRや志望理由書の準備は有効です。
しかし筆記とは別の特色試験そのものは無いため、余計な心配をせず筆記試験で一点でも多く得点することに集中しましょう。
出典:令和7年度神奈川県公立高等学校入学者選抜における特色検査、面接(特別募集)の学校独自の提出書類の様式(神奈川県ホームページ)
合格ボーダーライン予測
南高の合格ボーダーは、内申点と当日点を合わせた総合点(S値)でおおよそ780〜800点中盤と推定されています。
神奈川県公立入試ではS値1000点満点換算で合否判定しますが、南高の合格者最低ラインは例年780点台半ば(偏差値に換算すると60強)と言われます。
具体的な目安として、内申点が135点満点中120点(評定オール4相当)の受験生なら、学力検査500点満点中およそ380点以上が合格ラインとなります。内申がもう少し低く110点台(評定平均4弱)であれば、筆記で400点近く取ることが求められるでしょう。逆に内申が満点近く(オール5で135点)の生徒は筆記360点程度でも合格可能と考えられます。
過去のデータでは、合格者の内申平均が約114点、筆記平均が約360点で合計約750点でした。そこから推測するとボーダー層は内申110点・筆記370点前後で総合約760〜770点と推定されます。
もちろん年度や受験者層で変動しますが、「内申:学力検査=1:2の割合で稼ぎ、トータル8割弱」が一つの目標ラインとなります。
安全圏を狙うなら内申オール4以上+筆記380点以上を目指しておくと良いでしょう。
出典:横浜市立南高校の偏差値・合格実績を徹底解説!合格するための内申点と学力検査のポイント(コノ塾 – 進学型個別指導)
倍率の推移
南高の入試競争倍率は例年1.3〜1.5倍前後で推移しています。
募集定員が少ないため志願者数自体も他校ほど多くはありませんが、それでも毎年定員の1.3〜1.5倍程度の志願があり、最終的な実質倍率(受験者数÷合格者数)はそれ以上になる傾向です。
過去3年間を見ると、2022年度は約1.47倍、2023年度は約1.37倍、2024年度は約1.55倍でした。直近ではやや倍率が上昇傾向にあり、特に2024年度は受験者数57名に対し合格者38名で最終倍率1.50を超えました(志願変更による最終応募倍率は1.24→1.50と上昇)。
これは南高の人気が高まっていることや、併設中からの内部進学者が増えた影響で外部募集が絞られていることが一因と考えられます。
なお、他の最難関校(翠嵐など)と比べると倍率自体は極端に高くはありませんが、そもそもの合格枠が少ないため実質的な競争率の厳しさは数字以上です。
毎年若干の倍率変動はありますが、1.3倍を下回る年は少ないため、油断せずしっかり対策する必要があります。
出典:2025年度 神奈川県公立高校 募集人員(神奈川県ホームページ)
【令和7年度】神奈川県公立高校入試 倍率速報 (2月14日更新)(個別指導専門の学習塾 創英ゼミナール)
学費
南高は公立高校ですので、授業料は実質無償です(国の就学支援金制度により、年収約910万円未満の世帯は授業料年額11万8800円が全額補助されます)。
入学時には入学料5,650円、入学検定料2,200円がかかり、制服代(制服一式や体育着などで約10〜15万円程度)、教材費、諸経費が必要です。また、PTA会費や後援会費、修学旅行積立金なども月々数千円ずつ徴収されます。
南高在学に必要な学費負担は「入学時諸費用+年間数万円の諸経費」のみで、授業料は無料(該当世帯)です。経済面で公立高校のメリットが大きいことも、南高の魅力の一つと言えるでしょう。
出典:神奈川県を使いこなそう(神奈川県ホームページ)
高等学校等就学支援金制度(公立)(神奈川県ホームページ)
推薦入試・帰国生入試など
南高では一般入試のみで生徒を募集しており、高校入試段階での推薦入試や帰国生特別入試は実施していません。附属中学校からの内部進学者が大半を占める関係上、高校からの募集枠は少なく、全員が学力検査等による共通選抜で選抜されます。
帰国生についても、高校募集では特別枠を設けていないため、海外在住経験がある生徒も一般の受験生と同様の試験を受ける必要があります(附属中学校入試には帰国生対象の出願方法が定められていますが、高校からの募集には適用されません)。
※参考までに:附属中学校入試では適性検査による選抜が行われていますが、高校入試(外部募集)には影響しません。
出典:2025年度 神奈川県公立高校 募集人員(神奈川県ホームページ)
過去問の入手方法と活用法
南高入試の過去問は、神奈川県公立高校共通問題として県教育委員会が毎年「学力検査問題と正答」を公表しています。
直近年度の問題・解答は県の公式サイトからPDFで閲覧・印刷でき、例えば令和6年度入試(2024年2月実施)の全教科の問題と解答例が公開されています。
また、市販でも「神奈川県公立高校入試過去問題集」(6〜10年分収録)が東京学参などから発売されており、書店やネット通販で購入可能です。
活用法としては、まず最新年度から遡って5年分ほど時間を計って解いてみましょう。南高独自問題は無いとはいえ、神奈川入試の出題傾向(資料読み取りが多い等)に慣れることが重要です。解いた後は必ず解答解説を読み、自分の弱点分野を分析します。例えば英語の長文問題で時間が足りなかったなら、長文読解の練習量を増やす、理科の計算問題でミスが多ければ公式の復習をするといった対策に繋げます。
過去問演習を通じて各科目の得点の伸ばし方が見えてくるはずです。
また、本番同様の模擬試験(神奈川全県模試など)も積極的に受験して、他の受験生中での自分の位置を把握しましょう。模試結果を参考に出題傾向に沿った対策を修正しつつ、本番までに過去問は繰り返し解くことが大切です。
出典:【過去問】神奈川県 公立高校入試[問題・正答](リセマム)
横浜市立南高等学校の進学実績
大学合格状況
南高は毎年ほぼ全員が大学進学を希望し、難関国公立から有名私大まで多数の合格者を輩出しています。
2025年卒業生(令和6年度入試)では、東京大学に3名、京都大学に1名、一橋大学に2名、早稲田大学に34名、慶應義塾大学に27名(現役1名)合格するなど、トップレベル大学への合格者が目立ちます。
南高は附属中からの内部進学生・外部募集生ともに進学意欲が高く、現役での大学進学率は90%以上にのぼります。
2025年春の卒業生約200名に対し、延べ合格者数は国公立・私立あわせて678件に達しました(一人の生徒が複数大学に合格する場合があるため延べ人数)。特に難関私大(早慶上理やGMARCH)への合格が非常に多く、例えば早稲田大学に延べ58名、明治大学に延べ77名の合格者を出しています。さらに医学部医学科や難関理系学部にも毎年合格者を出しており、幅広い進路実績が特徴です。
出典:令和7年度入試 学部別 入試結果一覧(推薦・総合型を含む)(3月31日判明分)(横浜市立南高等学校)
最近3年間の合格状況(横浜市立南高等学校)
国公立大学 合格実績
南高は国公立大学にも毎年多くの合格者を出しています。
直近の実績では、東京大学が2023年度に12名(うち現役11名)と大きく伸び、2024年度5名、2025年度3名と安定して複数名の合格者を輩出しました。
東京工業大学(東京科学大学)は2025年度8名、2024年度9名、2023年度3名と理系難関校への合格も目立ちます。一橋大学は2025年度2名、2024年度8名など、首都圏難関国立への合格者を毎年堅実に出しています。地元の横浜国立大学には2025年度7名、2024年度17名と多数の合格者があり、筑波大学や千葉大学、東京外国語大学、東京学芸大学といった関東圏の国立大学にも満遍なく合格しています。さらに、防衛医科大学校に1名合格(2023年度)、国際教養大学に合格者1名(2025年度)など特色ある公立大学への進学も見られます。
南高では内部進学生が高1から大学受験を強く意識した学習を積んでおり、難関国公立への現役合格を狙う層が厚いことが背景にあります。
毎年3月には合格実績が公式サイトで詳細に公表されており、2025年度は国公立合計で77名と発表されました。
このように南高の国公立大合格実績は年々向上しており、県内トップクラスと言えるでしょう。
出典:令和7年度入試 学部別 入試結果一覧(推薦・総合型を含む)(3月31日判明分)(横浜市立南高等学校)
最近3年間の合格状況(横浜市立南高等学校)
私立大学 合格実績
南高の私立大学合格実績は非常に豊富で、早慶やMARCHへの大量合格が大きな特徴です。
2025年度の主な私大合格者数は、早稲田大学が延べ34名(うち現役31名)、慶應義塾大学が延べ27名(現役1名)、上智大学22名、東京理科大学12名などとなっています。MARCHでは、明治大学に延べ50名以上、立教大学にも50名、青山学院大学25名、中央大学25名、法政大学は専攻別合計で40名近くに上ります。
これら有名難関私大については、南高生は指定校推薦での進学も多く含まれます。
また、早慶上理やGMARCH以外にも、有名私大では日本大学・東洋大学・駒澤大学など日東駒専グループへの合格者も多数います。2025年度は日本大学延べ16名、東洋大学延べ12名などでした。
私大の合格延べ人数は年によって変動しますが、南高全体では私大合格者総数が500〜600に達する年もあり、これは1人平均2〜3校の私大に合格している計算になります。
以上のように、南高の生徒は難関私大から中堅私大まで幅広い大学に合格しており、その実績は県内トップレベルです。
出典:令和7年度入試 学部別 入試結果一覧(推薦・総合型を含む)(3月31日判明分)(横浜市立南高等学校)
最近3年間の合格状況(横浜市立南高等学校)
医学部医学科 合格実績
南高から医学部医学科へ進学する合格者も毎年若干名ながら存在します。
医学部は最難関分野ですが、南高では現役・浪人合わせて毎年数名が医学科に合格しています。
最近の実績では、私立医学部への合格が目立ち、2025年度に聖マリアンナ医科大学1名、東京慈恵会医科大学1名、東京女子医科大学1名、日本医科大学1名、金沢医科大学1名、関西医科大学1名などの合格者を出しました。
これらはいずれも浪人生(過年度生)で、現役では国公立医学科の合格は簡単ではない状況です。ただ、2023年度には防衛医科大学校に南高生1名が合格しており、このような特殊な医学系機関への進学例もあります。
また、獨協医科大学や岩手医科大学、国際医療福祉大学医学部などに合格する生徒もおり、年によっては現役で地方国公立医学部(京都府立医科大学に現役1名合格の年あり)の実績も報告されています。
出典:令和7年度入試 学部別 入試結果一覧(推薦・総合型を含む)(3月31日判明分)(横浜市立南高等学校)
最近3年間の合格状況(横浜市立南高等学校)
現役進学率・浪人率
南高ではほとんどの卒業生が現役で大学へ進学します。
具体的な数字で見ると、2025年卒業生(内部進学含む)は約200名中、現役での大学合格(進学)者が184名に上りました。
残りの一部(数十名)は浪人や専門学校、就職などの道を選んでいますが、浪人率は毎年5〜10%程度と推測されます。これは難関大学を目指して敢えて浪人する生徒が一定数いるためです。
たとえば東大や医学部を目指す生徒の中には、一年浪人して再挑戦するケースが見られます。
一方で指定校推薦やAO入試(総合型選抜)を活用し、現役で早慶上智やGMARCHへ合格する生徒も多く、現役合格率自体は非常に高い水準です。
南高の在校生は内部進学生を中心に高校1年次から大学進学を見据えた学習をしており、その成果が現役進学率の高さに表れています。
指定校推薦枠
南高は難関大学への指定校推薦枠を多数保有しており、生徒はこれを有利に活用できます。
具体的な枠数は毎年変動しますが、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学といった有名私立大学の指定校推薦があると推測できます。
またGMARCHレベルの大学はもちろん、東京理科大学や日本大学など幅広い大学から指定校の打診が来ています。
南高の指定校推薦枠は内部進学生・外部生関係なく成績上位者に開放され、評定平均等の条件を満たせば推薦校への出願が可能です。
南高は県下でも有数の指定校推薦充実校であり、在学中の成績次第で有利に進学先を確保できるチャンスが多々用意されています。
出典:横浜市立南高校のIさん、早稲田大学文化構想学部に指定校推薦入試にて現役合格です!(早稲田塾)
横浜市立南高等学校の評判・口コミ
良い評判・口コミ
南高の在校生・保護者からは、学習環境の充実と校風の良さについて高い評価が寄せられています。
特に「県内でも屈指の進学校」であり、内部進学生を中心に難関国公立大や早慶上智に多数合格者を出している点が頼もしいという声があります。実際、授業のレベルが高く課題も多いですが、その分学力が伸びると評判です。
自主自立を尊重する校風で、生徒はのびのびと勉強・学校生活に取り組んでいます。
また、グローバル教育にも熱心で、海外研修や英語でのプレゼン機会が豊富なことから「国際的な視野が広がった」という在校生の感想もあります。
行事も活発で、9月の南高祭(文化祭)は中高合同で盛り上がり、クラス企画や部活発表に熱中する生徒の姿が見られます。
部活動については「水泳部や弓道部が県内の強豪として有名」で大会実績もあり、文化部では料理部が全国大会(スイーツ甲子園)出場経験を持つなど、文武両道が実現されています。
設備面でも「校舎がきれいで設備が整っている」と好評で、特に校内にプラネタリウムまである点に驚く声もあります。
立地に関しては最寄駅から少し歩きますが、そのぶん静かで勉強に集中できる環境とのことです。
総じて、「勉強熱心な仲間に囲まれ、自主性を尊重してくれる校風の中で充実した高校生活を送れる」と良い口コミが多い印象です。
塾の必要性など客観的な視点
南高に合格・進学するような生徒はもともと高い学力を持っていますが、塾(予備校)の必要性については人それぞれのようです。
客観的に見ると、南高生の多くは大学受験に向けて高2〜高3で塾に通っていますが、学校の授業だけでも難関大合格者を出せる指導力があります。
学校の補習や放課後講習も充実しており、部活引退後の高3夏以降は先生方が特別講座を開いてくれることもあります。
一方で、より上位の大学を目指す生徒や、内部進学生に比べて勉強習慣を補強したい外部入学生の中には、進学塾で受験対策をするケースも多いです。特に医学部志望者や東大・京大志望者は塾の難関大コースに通い高度な問題演習を積むことが一般的です。
南高の環境で十分伸びる科目もあれば、塾を併用して弱点補強や受験情報収集するメリットもあり、「塾なしでも南高の授業をきちんとこなせば早慶に受かるが、より上を狙うなら塾も有効」というのが客観的な見方でしょう。
卒業生の声
南高の卒業生は、「充実した3年間だった」という声を多く寄せています。実際に入学してみると、内部進学生の英語力(スピーキング)の高さや、一方で外部生の文法知識の確かさにお互いが感心するなど、内部・外部が融合して学び合える南高ならではの経験だったと振り返る声もあります。
また、行事について「南高祭や体育祭がとても盛り上がり、一生の思い出になった」「部活動での達成感が大学以降にも生きている」という声も聞かれます
。勉強面では「授業の進度が速く課題も多かったが、先生方が親身に指導してくれた」「自主的に勉強する習慣が身についた」とのことで、南高で培った学習姿勢に感謝する卒業生が多いようです。
総じて「自由な校風の中で自主性が鍛えられ、得難い仲間と切磋琢磨できた」というのが卒業生の共通した声であり、南高に進学して良かったと感じている人が大半です。
横浜市立南高等学校の受験対策と勉強法
合格に向けた年間学習計画の立て方
南高合格を目指すには、中学3年生の一年間を計画的に学習することが重要です。
まず春〜夏にかけては内申点対策と基礎固めが中心です。具体的には、各定期テストでできるだけ5段階評定「5」や「4」を取れるよう日々の予習復習を徹底します。
同時に、入試に頻出の基礎事項(英単語・漢字・数学公式・理社の重要語句)をこの時期までに一通り暗記しておきます。
夏休みは勝負の期間で、時間が取れる分、過去問演習と弱点克服に力を入れます。神奈川県公立高入試の過去問を5〜10年分解き、解けなかった問題は類題を探して解き直します。夏期講習や模擬試験も積極的に活用し、自分の現状と目標との差を測りましょう。
秋(9〜11月)は志望校レベルの問題演習にシフトします。南高の入試難易度に合わせ、やや難しめの問題集や予想問題に取り組み、得点力アップを図ります。この頃には志望校判定模試で合格圏に入っていることが望ましく、判定が不安な場合は勉強時間・方法を見直します。
冬(12〜翌2月)は総仕上げです。これまで解いた問題の復習を繰り返し、間違えた問題を解き直して完璧にします。同時に、時間配分の練習として50分×5教科の通し演習を何度か実施し、本番さながらの緊張感で解く訓練をします。面接練習も忘れずに、友人や先生にお願いして模擬面接を経験しておくと安心です。
以上のように、「春〜夏で基礎固め、秋で応用力養成、冬で総仕上げ」という年間計画を立て、月ごとに達成目標(○月までに英単語帳1冊終了、等)を設定しながら勉強を進めると効果的です。
計画通りにいかない場合も焦らず軌道修正し、最後まで粘り強く頑張りましょう。
内申点対策: 重要性と目標設定、具体的な対策法
南高合格には内申点が大きくものを言うため、中学校の成績対策(内申対策)は最優先事項です。
まず目標設定として、9教科の評定合計で「オール4以上」、可能なら主要5教科は5を狙うくらいの意気込みで臨みます。
具体的な対策法としては、定期テストで高得点を取ることが肝心です。日頃から授業を真剣に聞き、教科書内容を完全に理解・暗記するよう努めましょう。定期テスト2〜3週間前からは計画的に試験勉強を始め、過去の学校配布プリントやワークを解き直します。提出物(ワーク・レポート・自由研究など)は期限前に出し、内容も丁寧に仕上げて評定アップに繋げます。副教科(音楽・美術・保体・技家)は実技テストや作品評価だけでなく、日頃の授業態度も評価されます。積極的に授業に参加し、発表や実技にも前向きに取り組みましょう。例えば美術の作品課題では放課後に居残って完成度を上げる、技術・家庭では提出課題を工夫してまとめる等、熱意を示すことが評価に繋がります。
また、担任や各教科の先生とのコミュニケーションも大切です。わからない所を質問に行ったり、補習があれば参加したりすることで学習意欲をアピールできます。
内申点は一朝一夕には上がりませんが、日々の積み重ねが結果として現れます。「テストであと1問多く正解して評定5を取る」ことが南高合格への近道ですので、中学生活全般を通じてコツコツ努力しましょう。
学力検査対策:
5教科合計の目標点:
南高合格ラインを考慮すると、5教科500点満点中400点(80%)を目標点に設定するのがおすすめです。
合格者の平均は約360点(72%)程度ですが、安全圏を狙うなら400点ならまず合格圏内でしょう。
科目ごとの目標としては、苦手科目を作らず各科目80点前後取ることを意識します(得意科目で90点以上、苦手でも70点台を死守するイメージです)。
科目別対策ポイント:
- 英語: 南高では英語が1.5倍換算されるため、最重要科目です。長文読解とリスニングで安定して点を取れるよう、毎日英語に触れましょう。
具体策として、教科書本文や長文問題集を音読し、速読力を鍛えます。リスニングは過去問の音源やNHKラジオ講座などで慣れましょう。英単語・熟語は受験標準レベルまで暗記し、英作文も模範解答を参考に練習します。おすすめ参考書は「神奈川県公立高校入試 英語リスニング問題」(CD付き)や、「英語長文ハイパートレーニング(標準編)」などで、入試形式になれつつ総合力を養えます。
- 数学: 出題範囲は中1〜中3の全単元です。南高合格には数学で80点以上取れると心強いです。
対策として、まず教科書の例題・章末問題を完璧に解けるようにします。その上で、入試標準問題集(浜須賀の「神奈川県 高校入試 とってもやさしい数学」など)で頻出パターンに慣れます。図形(証明・面積比)や関数の文章題は重点練習項目です。ケアレスミスを減らすため、計算問題は日々反復練習して正確さを上げます。模試などで時間配分を確認し、本番では各大問に時間をかけすぎないよう心がけましょう。
- 国語: 目標は70〜80点。近年の神奈川国語は論説文・小説の読解が中心で、設問数も多いです。ポイントは設問を先読みしてから本文を読むことと、記述問題で部分点を確実に取ることです。
対策として、日頃から新聞記事や評論文を読み、要旨をつかむ練習をします。漢字・語句は出題頻度の高いもの(四字熟語・慣用句など含む)をリストアップして暗記します。古典は文学的文章の一部として出題されることが多いので、中学で習う文法と用語(係り結び、敬語など)は押さえておきます。作文対策として、模範的な構成(起承転結)で120字程度を書く練習もしておくと安心です。
- 理科: 目標70点以上。物理・化学・生物・地学からバランスよく出題されるので、苦手分野を作らないことが重要です。教科書太字用語の暗記はもちろん、計算問題(オームの法則、力学、濃度計算など)は典型題を解法ごと暗記しておきます。
実験考察問題対策として、過去問や模擬問題でグラフ読み取りや作図問題に慣れます。例えば「光合成と呼吸の実験」や「電流と抵抗の関係」など典型実験は頻出なので、手順や結論を説明できるよう整理しましょう。資料集も活用し、写真や図から科学的事象を読み取る練習も有効です。
- 社会: 目標70点前後。地理・歴史・公民から満遍なく出ますが、一問一答的知識よりも資料分析が重視されます。地理では白地図問題や統計グラフの読み取り、歴史では年表や資料文の穴埋め、公民では時事的テーマに絡めた資料選択などが典型です。
対策として、教科書内容を年代順・分野別に整理し直し、重要事項を暗記します。その上で、「神奈川県 高校入試 社会資料問題集」などで資料問題に特化した演習を行い、グラフや統計から読み取れることを述べる練習をします。時事問題については、公民分野で出題可能性があるので、選挙制度改革やSDGsなど直近の話題も新聞でチェックしておくと良いでしょう。
以上、各科目ごとの対策をバランスよく進め、5教科トータルで高得点を狙えるようにしましょう。特に南高は英語重視ですから、英語に時間を多めに割きつつも他教科で取りこぼさないよう注意してください。
特色検査/自己表現検査 対策:重要性、出題傾向、対策方法
(※南高では特色検査が課されないため、ここでは他校受験者向けの一般論を記します。)
特色検査(自己表現検査)を実施する学校を受験する場合、筆記試験では測れない総合力や個性を示す試験となるため、早めの対策が必要です。
自己表現検査には共通問題と学校選択問題があり、例えば横浜翠嵐高校などでは与えられたテーマに沿って50分で記述する問題が出題されています。
傾向として、資料を読み取って自分の意見をまとめる記述、計算・論理パズル的な問題、グラフや図表の分析などが出ます。
対策方法としては、まず過去の特色検査問題を入手して解いてみることです。神奈川県教育委員会から各校の特色検査問題・解答用紙が公表されているので、実際の形式に慣れましょう(学校により問題傾向が違うため志望校のものを確認)。
次に、自分の考えを制限時間内に論理的に書く練習をします。新聞の社説や世の中の問題について400字程度で意見文を書く練習も有効です。特色検査では暗記知識ではなく思考力・判断力・表現力が問われます。したがって日頃から「なぜそうなるのか」を考える習慣や、ディスカッション・小論文対策講座への参加などで思考を深める訓練を積むと良いでしょう。
学校独自の特色対策資料が配布される場合もあるので見逃さず入手し、傾向に沿った準備を万全にして臨んでください。
面接対策:評価ポイントと練習方法、想定質問例
南高を含む公立高校一般入試で面接が課される場合、その評価ポイントは「志望理由の明確さ」「自己表現力(コミュニケーション能力)」「中学校での取り組み・人間性」の3点が主になります。
具体的には、受験生が南高に入りたい強い意欲を持っているか、自分の言葉で要点をはっきり伝えられるか、そして学校生活や社会のことに関心を持ち主体的に活動してきたか、などが見られます。
想定質問としては、「本校を志望した理由を教えてください」「中学校生活で一番力を注いだことは何ですか」「あなたの長所・短所は?それを高校生活でどう活かしたいですか」「将来の夢や興味のある分野を聞かせてください」「本校でやりたいこと・入学後の目標は何ですか」といったものが考えられます。
練習方法として、これら想定質問に対する自分なりの答えをあらかじめ紙に書き出し、暗記ではなくポイントを押さえて話せるようにします。家族や先生に面接官役をしてもらい、3回以上は模擬面接の練習をしましょう。入退室の挨拶・お辞儀や椅子への座り方など基本的マナーも確認します。声が小さいと言われる場合は、面接練習時に意識的に大きな声を出す訓練をします。
また、表情も大切な要素ですので、笑顔と真剣さのバランスを意識し、聞かれたことに的確に答える練習を重ねてください。南高の面接は難問を答えさせるものではなく、人柄を見る場です。ですから自分を飾りすぎず、南高で実現したい夢や中学校での経験を素直に語れば大丈夫です。
最後に「何か質問はありますか?」と聞かれることもあるので、「◯◯部はありますか?」「御校の〇〇という取組みに魅力を感じています」等、一言用意しておくと意欲が伝わるでしょう。面接当日はリラックスして、自信と熱意を持って臨んでください。
過去問・模擬試験の効果的な活用法
過去問演習と模擬試験の活用は、南高合格には欠かせません。
まず過去問ですが、神奈川県公立高校共通問題なので県教委公開のPDFや市販の過去問題集をフル活用しましょう。
効果的なやり方は、本番と同じ時間割で5教科を続けて解く「通し演習」を定期的に行うことです。例えば日曜日の午前中などを使い、9:00国語→10:00社会→(休憩)→11:00数学…という具合に実施します。時間配分や体力配分の感覚を掴めるだけでなく、一日に5教科を解く集中力が身につきます。
解き終わったら自己採点をし、できなかった問題は必ず解説を読んで理解します。解説を読んでも分からない場合は、学校や塾の先生に質問して疑問点を残さないようにします。間違えた問題については、ノートにまとめたり、類題を別の問題集で探して解いたりして再発防止に努めます。
過去問は最低でも3〜5年分、可能であれば10年分程度を繰り返し解いてパターンを頭に入れましょう。南高レベルを目指す場合、過去問で8割を安定して取れるようになっておきたいところです。
次に模擬試験ですが、神奈川県の模試(全県模試やW合格もぎなど)を積極的に受けましょう。
模試は自分の位置を知るだけでなく、弱点発見と試験慣れにも役立ちます。模試の判定で合格圏が出れば自信になりますし、もし判定が思わしくなくても入試までに対策すべき課題が見えてきます。模試の復習も過去問同様に大切です。解けなかった問題をそのままにせず、解説を読み込んで理解し、類似問題を演習して克服しましょう。
模試結果の志望校判定や合格可能性はあくまで目安ですが、南高の場合はB判定以上(合格可能性50%以上)が出ていればほぼ合格圏、C判定(35%前後)でも逆転合格している例はあります。判定に一喜一憂しすぎず、自分の苦手分野チェックの機会と捉えると良いでしょう。
最後に、本番直前期には再度過去問に立ち返ります。直近年度の過去問をもう一度時間を測って解き、「時間内に解き終わるか」「ケアレスミスをしていないか」を確認します。解き終わったら自己採点し、目標点に届いていれば自信を持ってください。届かなかったとしても解き直しをすれば直前でも点数は伸びます。
過去問・模試を最大限活用し、本番で実力を100%発揮できるように準備しましょう。
出典:【過去問】神奈川県 公立高校入試[問題・正答](リセマム)
おすすめ併願校パターン
南高一本を目指すとはいえ、併願校選びも大切です。南高志望者の多くは私立高校を滑り止めに受験し、また公立第二志望としてもう1校出願するケースがあります。
おすすめの併願パターンをいくつか紹介します。
- 難関私立+南高+中堅公立:南高より偏差値がやや上または同等の難関私立を併願し(合格したら特待で進学も検討)、万一に備えて中堅公立も出願するパターンです。
例えば、早慶附属やMARCH附属レベル(慶應湘南藤沢や明大明治など)を挑戦しつつ、南高が第一志望、公立第二志望に偏差値55〜58程度の県立高校(松陽高校や横浜栄高校など)を出す、という組み合わせです。この場合、私立結果が2月上旬に出るため進路の選択肢が広がります。
- 実力相応私立+南高:南高合格に自信がある場合は、あえて中堅〜上位私立1校だけを確保して南高に専念するパターンです。
例えば、横浜隼人高校(進学コース)や日本大学藤沢高校(総合進学)などは南高志望者の一般的な滑り止めで、これらに合格しておけば私立進学の安心を得つつ南高受験に集中できます。他にも桐光学園(II類)や桐蔭学園(プログレス)なども実力相応の私立として人気です。
- 特色校併願:南高と雰囲気が異なる特色ある学校を併願するケースです。例えば国際色に興味があるなら、南高第一志望で、併願に市立横浜国際高校(国際科)を検討するなどです。ただし学科が違うので併願というより志望変更になるかもしれませんが、自分の興味に応じて学校の特色でも選択肢を広げるという考え方です。
なお、具体的な併願校の組み合わせ例としては、南高志望の男子は横須賀学院高校(S特選コース/A進学コース)を併願するケースが多く、女子なら北鎌倉女子学園(特進コース)などがよく挙げられます。これらの私立は大学実績もあり併願推薦も取りやすいので安心材料になります。
また、公立第二志望には、市立桜丘高校や市立金沢高校、県立希望ヶ丘高校、氷取沢高校などを出願する例があります(内申次第では南高が第一志望で第二志望を書かない選択も可能です)。いずれにせよ、「私立で安全校1〜2校+公立第2志望1校」の形でリスクヘッジするのが一般的です。
最後に、自分の学力や将来計画に応じて併願校を決めることが大事です。南高受験に失敗しても「ここなら行きたい」と思える学校を選んでおけば、安心して南高に挑戦できます。
学校説明会や塾のアドバイスも参考に、納得のいく併願パターンを組みましょう。
まとめ
横浜市立南高等学校の魅力は、国内トップクラスの進学実績と中高一貫による充実した教育環境にあります。
県内屈指の進学校として知られ、東京大学推薦入試で2名の合格者を輩出するといった成果もあげています。自主自立を掲げる校風のもと、生徒たちは学問に打ち込みつつ文化祭や部活にも全力投球し、充実した学校生活を送っています。
南高に合格するためには、本記事で述べたとおり内申点の確保と入試筆記対策の両輪が大切です。中学校でコツコツ努力して成績を上げ、過去問演習を重ねて得点力を磨けば、合格への道筋が見えてきます。
南高での3年間が皆さんにとって実り多いものとなることを願っています。